《茶✕ボトル》300円で3回も!フィルターインボトルを活用した朝しか買えない「朝ボトル」【mirume深緑茶房/松本壮真】

お茶は液体。飲むためには容器がいる。1990年、ペットボトル茶の発明から30年以上にわたり、ボトル入りのお茶の革新が続いている。それまでのお茶は、茶の間に座り、急須と茶碗で飲むものだった。しかしペットボトルの登場により、すぐにどこでもお茶が飲めるようになった。ペットボトル茶の革新は、ボトルでお茶を飲むことを当たり前にし、2007年にはワインボトル入りの高級茶、2012年にはボトル内で茶葉を抽出するフィルターインボトルが発売され、ボトルのお茶の幅がさらに広がった。そして、今回ご紹介するmirume深緑茶房では、ボトルのお茶を活用した新サービス「朝ボトル」を提供している。「朝ボトル」は、平日朝8〜10時、店先を通勤・通学する顧客に、フィルターインボトルの淹れたてのお茶を提供し、帰宅時に飲み終わったボトルを店舗へ戻してもらうというサービスだ。これにより、ボトルのお茶にも関わらず、淹れたてのフレッシュな香りと味わいを楽しむことができ、使い捨てペットボトルのゴミ問題も発生しない。また一度飲みきっても3回まで水を注ぎ直して飲める。店舗側にとってもお客様の来店頻度を上げることができるのもメリットだ。今回フィルターインボトルを活用し、新たなボトル茶の可能性を切り拓いたmirume深緑茶房の松本壮真さんにお話をうかがった。 松本壮真(まつもと そうま) 日本茶専門店「mirume」の店主、日本茶農家3代目で日本茶インストラクターです。日本茶農家に生まれ『次の世代に日本茶を繋いでいきたい』と考える一方で、60代以上が約60%の消費量を担う日本茶業界に危機感を抱いています。 「mirume」とは日本茶業界の言葉で「若い芽」「上質な芽」を指します。名古屋市の那古野で、品質の高い日本茶を幅広い世代に楽しんでいただけるお店づくりに努めています。 目次1 購入できるのは朝8時〜10時!朝買って夕方に返却する、ユニークなサービス「朝ボトル」2 日本茶ビギナーさんにも届けたい、日本茶のおもしろさ3 日本茶は、家族のような存在。だからこそ挑戦したい。三代目の決意4 日本茶の難しさはおもしろさとの表裏一体!楽しく、カジュアルに楽しむ選択肢を増やしたい。 購入できるのは朝8時〜10時!朝買って夕方に返却する、ユニークなサービス「朝ボトル」 Q:[mirume深緑茶房]朝ボトルのサービスについて教えてください。 フィルターインボトルをまるまる1本レンタルすることができる 松本:朝ボトルは本格的な日本茶のテイクアウトサービスです。 朝の8時〜10時の時間帯だけ、茶葉と水が入ったフィルターインボトルを1本300円でレンタルという形で販売しています。そしてフィルターインボトルは、夕方に返却していただいています。 Q:朝ボトルの日本茶はお水を継ぎ足せば何度でも飲めるのでしょうか? 松本:そうですね。お水がなくなったら継ぎ足していただき、3回くらいは飲めますね。 Q:フィルターインボトルが返却されない、なんてことはないのでしょうか? ありがたいことに、ほぼ100%返却していただけています。でもテレビなどのメディアに出演したりすると、下手すると1/4くらい返却されないことはありました(笑) 基本的には通勤客の方が購入してくれる方が多いのですが、毎日通勤で店の横を通るからこそ、返却率が高いのではないかなと思っています。 Q:「朝ボトル」はやはり朝にボトルを売るから朝ボトルという名前に? 松本:じつは、当初は「ボトルパス」という名前でサービスを展開しようと思っていました。 […]

《茶✕ロボティクス》農業の機械化、ロボティクスでお茶の生産現場はどう進化する?スマート農業の最先端【堀口製茶/堀口大輔】

現在、全世界で生産されるお茶は600万トン以上。この10年、毎年10万トンずつ増加している。そのうち日本で生産されるお茶は約7万トン。つまり日本茶は、世界のお茶の生産量のわずか1%程度だ。わずか1%だが、日本には他国に類をみない茶道や煎茶道といった茶文化、急須や湯沸かしポットといった茶器がある。そのような日本だけで培われ、高められた発明や革新、文化は、お茶の生産現場にもある。その一つが、お茶の収穫で活躍する乗用摘採機だ。この100年の間に日本でのお茶の収穫は、手摘み、手鋏(てばさみ)、可搬式摘採機、そして乗用摘採機へと変化してきた。世界では未だに手摘みが主流の中、1980年代後半より日本では乗用摘採機が収穫の主役へと移行し、収穫の効率は手摘みの数百倍になっている。今やスマホが一人ひとりの手にあり、ドローンが飛び、自動運転のクルマも目前となっている中、農業機械はどのように進化していくのだろうか?鹿児島県志布志市で、国内最大級の茶園面積を管理する堀口製茶では、かつてより茶生産の現場での機械化に取り組んできた。自社開発の機械だけでなく、国の研究機関等とも協力し、収穫ロボットとも言える無人摘採機の研究にも参画している。今回は、茶✕ロボティクスの最前線にいる、堀口製茶代表取締役・堀口大輔さんにお話を伺った。 堀口大輔(ほりぐち だいすけ) 鹿児島堀口製茶 代表取締役社長/和香園 代表取締役社長1982年鹿児島県志布志市生まれ。大学卒業後、静岡県でお茶メーカーに入社。4年間従事し2010年4月帰郷し、父親が社長を務める鹿児島堀口製茶/和香園に入社。2018年7月、同社代表取締役副社長および和香園代表取締役社長に就任。日本茶インストラクターの資格を持つ。茶畑面積は300ha(うち自社管理茶園120ha)。 目次1 日本の茶業を最前線で牽引する堀口製茶とは。2 堀口製茶の精鋭部隊「茶畑戦隊 茶レンジャー」。生まれたきっかけはサステイナブルなお茶づくり3 「スマート農業の発展に茶業界の貢献を残したい」。次世代農業に積極的に挑戦する堀口製茶4 お茶の楽しみ方は無限大。つくり、伝え、裾野を広げていきたい。 日本の茶業を最前線で牽引する堀口製茶とは。 Q:堀口製茶の事業内容について教えてください。 弊社は、生葉の生産から仕上げ加工(二次加工)までを行う堀口製茶と、仕上げた茶葉を卸・小売販売する和香園があります。 和香園は、鹿児島県内5ヶ所の実店舗とオンラインショップがあります。 そのほかに[創作茶膳レストラン 茶音の蔵(さおんのくら)]と「お茶農家が提案する、新しいお茶の文化」をコンセプトにした茶空間[大隅茶全(おおすみさぜん)]があります。 その他にも自社の茶葉を使ったコンセプトブランド「TEAET(ティーエット)」やシングルオリジンに特化した「カクホリ」もあります。 いかに広大な茶畑と大きな工場があるかがよくわかる堀口製茶としての工場受入面積は300haあり、300haの茶園面積のうち、120haは自社で管理し、残りの180haは42軒の系列農家さんが管理してくださっています。 系列農家さんの形は大きく分けて2つあり、生葉農家として、生葉を弊社の荒茶工場に持ってきてくださる場合と、ご自身の茶工場で製造もしつつ、私たちの工場へも生葉を持ってきてくださる場合の2つがあります。 最近の厳しい市況により、ここ数年、自社工場での製造をやめて、生産した生葉を全量持ってくるという選択肢を取られている農家さんもいらっしゃれば、引き続き、自分たちの工場をやりつつも、弊社に生葉を持ってくるというハイブリッドな選択肢をとっている農家さんもいらっしゃいます。堀口製茶では、系列農家さんのニーズに合わせてできる限り対応しています。 […]

《茶✕産地》茶業衰退で茶産地は消滅するのか?在来7割、乗用摘採機ゼロ台、完全無農薬の茶産地の今と未来。【[政所茶縁の会][茶縁むすび]/山形蓮】

上の写真を見て、茶畑だと分かる人は、きっと少ないだろう。約百年前、機械化が進む以前の茶畑はこのような風景だった。茶の収穫が茶娘たちの手摘みだけだった頃、茶畑は今のような緑のストライプではなく、このような風景だった。 そして今もこの風景に新芽がめぶく茶産地がある。滋賀県東近江市の政所(まんどころ)だ。約600年前には茶栽培が始まり、今も百年以上前の茶畑の風景が守られている。かつて「宇治は茶所(ちゃどころ)、茶は政所(まんどころ)」と茶摘み唄にも歌われた古くからの銘茶の産地だ。 政所のこの風景が守られた背景は、幾重にも折り重なっているが、在来種7割、乗用摘採機ゼロ台、完全無農薬、化学肥料ゼロ、全員兼業農家など、他の茶産地にはないキーワードがたくさんある。 政所は、戦後から現在までつづく「経済合理性の追求」、具体的には、品質向上のための在来種からやぶきたへの改植、収量アップのための農薬・化学肥料の導入、効率化のための乗用摘採機の導入といったことを産地としてやってこなかった。 そして今も約60軒の兼業茶農家が2.5ヘクタールの茶畑で玉露を含む昔ながらの茶作りを続けている。 原風景ともいえる政所に広がる茶畑は「発展と拡大だけがあるべき未来なのか?」という問いに、静かに答えてくれる。政所に移住し、10年以上、政所茶にたずさわる山形さんにお話をうかがった。 山形蓮(やまがた れん) 1986年生まれ。非農家出身、元日本茶嫌い。2012年に滋賀県立大学のフィールドワークで偶然「政所(まんどころ)茶」と出会い、作り手の思いに惚れ、素人ながら仲間たちと茶畑を借りて産地に通い、一からお茶づくりを学ぶ。2014年に東近江市地域おこし協力隊第1号として移住し、政所茶の生産・加工・販売に加え、産地をPRするツアーやイベントの実施やコラボ商品の開発なども行う。政所茶生産振興会理事、政所茶縁の会代表、茶縁むすび代表。 目次1 銘茶の産地・政所を守る[政所茶縁の会]2 この10年で変化したのは「関係人口の増加」。その背景にあるものとは3 今の時代に原点回帰した理由。作り手のプライドが守ったもの4 「こんな在り方」「こんな残り方」ありだよね。そう思ってもらえるロールモデル産地を目指して。 銘茶の産地・政所を守る[政所茶縁の会] Q:[政所茶縁の会]とはどのような組織ですか? 政所茶縁の会メインメンバーの皆様(中心に立っているのが山形さん) 山形:県内に在住する30代の女性有志のメンバーがつくっている任意のチームです。メンバーに公務員の人がいたりする関係で営利活動はあまりできてはいないのですが、産地や茶畑を守ることを行っています。 また、私が代表をつとめている[政所茶縁の会]同様、私が個人事業主として事業をしているのが[茶縁むすび]です。[茶縁むすび]では政所茶をつくったり販売する他、ツアーや体験イベントなど産地のファンを増やす取り組みも行っています。 Q:山形さんの思うミッションを教えてください。 山形:政所茶の風景が、私たちの次の世代にも目に見える形で残るために今できることをする、でしょうか。 Q:[政所茶縁の会]活動する一番の魅力を教えてください。 […]

《茶✕新規就農・6次化+α》茶畑から茶室まで、産業から文化まで背負って立つ大志と行動。カルチャープレナーが進める茶業界と茶文化の再起動。【TeaRoom CEO / 岩本涼】

岩本さんサムネイル

「ピカソとゴッホ」 この偉大な芸術家の二人は、対照的だ。 ゴッホは生涯で2000点もの作品を残したが、生前に売れた絵は、たった一枚。その価格は400フラン(現在価格に換算して十数万円)、一生貧乏だった。対してピカソは15万点以上の作品を残し、芸術家として経済的にも成功し、晩年には7500億円以上の資産を築いた。 この逸話は、芸術と経済、バリューとマネタイズの文脈でよく引き合いに出される話だ。 需要拡大が叫ばれる茶業界は、生産の現場から茶室に至るまで、業界全体がゴッホとピカソの話のように、その価値(バリュー)が十分に換価(マネタイズ)されない状況が続いている。 つまり、茶畑から茶道に至るまでの茶業界全体、ひいては日本文化全体が「価値の塊」なのに、換価されぬまま、「武士は食わねど高楊枝」を続けている。 このような現状を憂い、立ち上がったのが株式会社TeaRoom代表取締役の岩本涼さんだ。岩本さんは、9歳で茶道に魅了され、大学在学中の2018年、お茶で起業。現在、東京に拠点を持ち、静岡に茶畑と製茶工場、京都・金沢などにも活動拠点を広げ、世界を飛び回る。 茶畑→茶室、茶生産→茶文化に至るすべてを統合して担う岩本さんたちの活動は、現在の茶業界全体、日本文化全体が抱える価値(バリュー)を十分に換価(マネタイズ)できない暗闇に輝く太陽だ。 岩本さんたちの大志と思考と行動は、常人の理解をはるかに超えており、正直難解だ。しかしその大志と思考が徐々に形となり、岩本さんたちへの期待と評価も高まっている。カルチャープレナー(文化起業家:カルチャーとアントレプレナーを掛け合わせた造語)として、今日も世界を飛び回る岩本さんにお話をうかがった。 岩本涼(いわもと りょう) 1997年生まれ。茶道裏千家にて岩本宗涼(準教授)を拝命。21歳で株式会社TeaRoomを創業。静岡県に日本茶工場を承継し、第一次産業へも参入。「Forbes 30 Under 30 Asia 2022」選出、株式会社中川政七商店の社外取締役、一般社団法人文化資本研究所代表理事。 目次1 「人々が豊かに生きるために蓄積してきたもの」を体験するためのツールの一つ、それが茶道であり茶室である。2 文化と産業の対立・境界をなくし、新しく・豊かな社会をつくる3 社会課題化“されていない”ということに違和感をもつということ4 茶業界の未来に必要なのは「社会からの評価、そして投資したいと思わせる環境づくり」5 […]

《茶✕オーガニック》オーガニックと認証。農薬不使用で手摘み、棚がけ栽培で石臼挽きの抹茶がひらく新世界。【赤堀製茶場/赤堀正光】

2000年代以降、抹茶が世界的に人気だ。しかし人気の抹茶は、抹茶アイスに代表される、食品加工用のフレーバー(風味)としての抹茶だ。 加工用抹茶の需要拡大と煎茶の需要減少により、各地で抹茶の生産が始まり、2021年には、鹿児島が京都を抜いて、てん茶(抹茶の原料)生産量日本一となった。 そして、抹茶の人気と同期するようにオーガニック(有機無農薬栽培)の農産物への移行も世界的なムーブメントだ。1999年、日本でもJAS認証のオーガニック(有機農産物)認証制度が導入された。2022年には農水省による「みどりの食料システム戦略」の推進がはじまり、さらにオーガニックへの流れが加速されると思われる。 しかし、オーガニックと言えば、「認証」が当然のようであるが、現実は、国内で農薬不使用に取り組む農家の6割以上が「オーガニック認証」を取得していない。「オーガニック認証」制度には、さまざまなコストがかかり、小規模な農家にとっては負担が大きすぎるからだ。 そのような状況のもと、古くからの抹茶の産地、愛知県西尾市にて、5代にわたり抹茶を生産する茶農家である赤堀製茶場の赤堀正光さんの取り組みをここで紹介したい。赤堀さんは2017年より、農薬不使用・有機農法に取り組んでいる。そして棚がけ栽培、そして手摘み収穫、伝統的な碾茶炉で製茶し、石臼挽きの抹茶を生産・販売している。 日本で唯一ともいえるこの抹茶の生産に挑戦しつづける赤堀さんにお話をうかがった。 赤堀正光(あかほり まさみつ) 地元実業高校を卒業後、京都有名老舗問屋にて2年間住み込み修業を行い、2000年に家業である赤堀製茶場へ就農。栽培から製造、お茶に関するノウハウを勉強し2012年に5代目に就任した。 地域学習で子供たちとのふれあいなどを通し、安心して手にとってもらえるお茶作りをしたいと考え、減農薬栽培に挑戦。2017年より農薬不使用栽培に切り替え、有機農法にも取り組み中。 また、土日にはキッチンカーでこだわりの抹茶を振舞う。 目次1 古くからの抹茶の産地・愛知県西尾。この地で五代にわたり抹茶をつくり続ける赤堀製茶場とは。2 手摘み・棚がけ・農薬不使用・有機肥料のみという茶づくり3 「オーガニックが売れるから無農薬を選んだのではない」4 「こだわったお抹茶を作りたい」手摘みで抹茶をつくり続ける理由とは5 まだまだ伸びしろが多い抹茶の世界。これからも体により良い抹茶をみなさまへ。 古くからの抹茶の産地・愛知県西尾。この地で五代にわたり抹茶をつくり続ける赤堀製茶場とは。 Q:赤堀製茶場についてご紹介ください。 赤堀:弊社のある愛知県西尾市は、古くからの抹茶の産地です。 西尾に初めて茶の木が植えられたのは、約750年前、と言われています。明治初期に碾茶(てんちゃ/抹茶の原料)の栽培が本格化しました。赤堀製茶場もその頃から碾茶の栽培をしている、現在では僕で5代目になる茶農家です。 いまは農薬不使用栽培をしており、有機肥料を使った茶栽培にも取り組んでおり、収穫・製茶から販売まですべて行なっています。 […]

《茶✕北限》限界を超えろ!北海道に7000本の茶樹を植え、茶生産を目指す「北限のお茶」プロジェクト。【緑碧茶園/興梠洋一】

お茶の木は、中国雲南省原産の亜熱帯植物。そのため世界のほとんどの茶産地は、緯度の低い南国にある。 世界の茶産地からみると日本は、トルコ、イラン、グルジア等とならぶ、お茶の北限に位置する国だ。実際、日本の茶生産は西日本に集中しており、秋田県檜山、岩手県気仙沼にも茶畑は点在するが、お茶の商業的な北限は新潟県村上市と茨城県大子町を結ぶラインといわれている。しかし、その北限を大幅に北上させ、北海道・ニセコでお茶づくりに挑戦している人達がいる。全国に140店舗以上を展開し、2020年に本社をニセコに移転した[世界のお茶専門店ルピシア]と、日本最南端のスキー場がある宮崎県五ヶ瀬町にて40年以上にわたり、お茶を生産する釜炒りの巨匠・興梠洋一(こうろぎよういち)さんたちのグループだ。 2015年より始まった「北限のお茶」プロジェクト。 2022年には樹齢40年以上、7000本ものお茶の木を静岡から移植。これまでにない規模と方法で「北限のお茶」への挑戦を続けている。 今回はそんな「北限のお茶」プロジェクトの創始者・興梠洋一さんにお話を伺った。 興梠洋一(こうろぎ よういち) 1962年生まれ 1987年に二代目として就農し、茶業の道へ入る。1995年にお茶専業農家五ヶ瀬緑製茶として本格的に茶業経営を行う。2015年より株式会社ルピシアと、北海道ニセコ町にお茶の木を植栽する。2020年から株式会社新雪谷茶園(ニセコ茶園)を設立し、ルピシア「北限のお茶」プロジェクトをスタートする。2023年、株式会社緑碧茶園(ルーピー茶園)に名称変更(株式会社ルピシア グループ会社)し、現在同社の社長を務める。釜炒り製玉緑茶部門にて通算農林大臣賞17回受賞。その他日本茶アワードやジャパンティーセレクション パリ、ザ・リーフィーズ インターナショナル・ティ・アカデミーなど国内外でも数々の賞を受賞している。受賞歴「五ヶ瀬緑製茶」 ・釜炒り製玉緑茶部門(全国、九州、県大会)で通算、農林大臣賞17回受賞 ・日本茶アワード 2019年 萎凋釜炒り茶 華菜 釜炒り茶部門 審査員奨励賞 受賞 2021年 焙煎釜炒り茶 奏燻 釜炒り茶部門 ファインプロダクト賞 受賞 ・ジャパンティーセレクション パリ 2021年 萎凋釜炒り茶 華菜 釜炒り茶部門 金賞 受賞 2022年 八朔の花紅茶 はなえみ その他の部門 グランプリ受賞 2022年 焙煎釜炒り茶 奏燻 釜炒り茶部門 銅賞 受賞 ・ザ・リーフィーズ インターナショナル・ティ・アカデミー 2022年 八朔の花紅茶 はなえみ 金賞 受賞 目次1 始まりは、スキーリゾートのニセコにお茶を植えてみよう!だった。2 […]

《茶✕インバウンド》「茶畑に行きたい!」バスは一時間一本以下。最寄りの駅まで10キロ。陸の孤島の茶産地に訪日外国人が殺到するヒミツ。【京都おぶぶ茶苑/ 松本裕和】

コロナ禍の鎖国が明け、円安が進み、2023年のインバウンド観光客(訪日外国人旅行者)は、2000万人を超えた。2024年には史上最多の3300万人を超えるという見込みもある。(JTB旅行動向見通しによる) インバウンド観光客のほとんどは、公共交通機関のみで移動するため、大都市や観光地のみを訪問するケースがほとんどだ。抹茶をはじめ、お茶に興味のあるインバウンド観光客も少なくないが、中山間地域に多い茶産地まで訪問するケースは全国的にまだまだ稀である。 そんな中、インバウンド観光客を呼び込むのに成功している茶産地がある。京都府和束(わづか)町だ。ここは、宇治茶の産地として茶作り800年以上の歴史があり、最近では和束茶としても名高い。ここ和束町には、お茶好きなインバウンド観光客に対応施設、d:matcha、和束茶カフェなどがあり、年中とおしてさまざまな髪色のインバウンド観光客が訪れている。 今回ご紹介する京都おぶぶ茶苑もその一つ。2010年より、積極的にインバウンド観光客の受け入れを行なっている。 和束町には駅がない。国道もかすめている程度。10キロ以上離れた最寄り駅からのバスは、一時間一本以下。そんな陸の孤島にインバウンド観光客が集まるヒミツを京都おぶぶ茶苑 共同代表 松本裕和さんにうかがった。 松本裕和(まつもと ひろかず) 1975年奈良県大和郡山市生まれ。大阪産業大学経営学部卒業。在学中に宇治茶の主産地京都府和束町で農繁期のアルバイトを通じ、その後新規就農者として就農する。地元茶農家や友人とともに、農業生産法人や製茶販売法人を創業し役員に就任する。2001年に第一期日本茶インストラクターに最年少で合格する。2004年に前記法人でおぶぶ茶苑ブランドを立ち上げるも、経営方針の違いにより両法人を退社する。その後、住宅や保険販売の営業職を経て、2016年に京都おぶぶ茶苑合同会社に再就職し、ツーリズムを中心にマネジメントを任され、現在は同法人の共同代表に就任 目次1 すべて英語でガイド!日本茶を楽しく学べる4時間のティーツアー2 温泉、寺社仏閣、旅館、そして茶産地。日本旅行のデスティネーションに茶産地を加えたい3 日本文化体験×お茶体験で「お茶のワンダーランド」をつくる すべて英語でガイド!日本茶を楽しく学べる4時間のティーツアー Q:京都おぶぶ茶苑の提供する「ティーツアー」について教えてください。 松本:京都おぶぶ茶苑では、「日本茶を世界へ」をミッションにさまざまな活動を展開しております。現在、4haの茶畑を管理し、100種類以上のお茶を生産、主にインターネットで販売しております。 ティーツアーで参加者に説明をする松本さん ティーツアーは、主にインバウンドの海外旅行者のうち、お茶が大好きな方を対象とした4時間のツアーです。 ティーツアーに参加すると、茶畑や茶工場を見学することができ、煎茶、玉露、抹茶、ほうじ茶、玄米茶、和紅茶など9種類のお茶を飲み比べたり、お昼ご飯には、ぶぶ漬け(お茶漬け)を食べることができます。 ティーツアーでは、茶産地や茶作りの現場を体験しながら、日本茶について全般的に学べる内容になっています。 ティーツアーでガイドするおぶぶ茶苑のインターン生 […]

《茶✕宿泊》「当たり前」のお茶をテーマにまで高め、事業展開。ホテルから広げるお茶の可能性。 【龍名館/濱田裕章】

日本で旅館やホテルに宿泊すると、部屋に必ずお茶がある。当たり前のことだ。しかし海外に行くと、部屋にお茶(日本茶)はない。これまた当たり前のことだ。つまり、国内の旅館やホテルにおいてのみ、お茶は「当たり前のおもてなし」として取り扱われている。 そして、その「当たり前」をコンセプトにまで高めたホテルがある。それが2018年に開業したお茶がテーマの[ホテル1899東京]だ。このホテルを運営するのは、創業1899年(明治32年)の龍名館グループ。ホテルの他にお茶をコンセプトにしたレストランやカフェも手掛ける。 コロナ禍が明け、円安の進む今、観光業のなかでも特にインバウンド観光(外国人の国内観光)が活況を呈している。昨年(2023年)も2000万人以上のインバウンド観光客が日本を訪れ、これからもインバウンド市場は成長すると予測されている。 日帰りではないインバウンド観光客にとって宿は要。そこでのお茶は「当たり前」ではなく、「特別」であるべきだ。「当たり前」としてお客様の部屋の中まで入り込めるお茶は、一番身近にある日本文化で、そして日本文化の真髄を伝えられる特別なもののはずだ。 お茶をテーマに「茶✕宿」の可能性を実践している、龍名館専務取締役の濱田裕章さんにお話を伺った。 濱田裕章(はまだ ひろあき) 成蹊大学経済学部卒、BBT大学大学院経営学部修士課程修了。 大手金融機関での勤務後、「ホテル龍名館東京」の開業準備のため2008年(株)龍名館に入社。 ホテルフロント勤務後、ホテル龍名館お茶の水本店の改装、ホテル1899東京の開業に携わり現職に至る。 目次1 「国の光を観る」観光業に携わる者として、日本の文化「日本茶」に光をあてる。2 日本とお茶の文化をさりげなく取り入れた「侘び寂び」の空間づくり3 日本人にとって身近すぎるお茶。「貴重な文化」であるお茶の価値を体験し、実感してほしい。 「国の光を観る」観光業に携わる者として、日本の文化「日本茶」に光をあてる。 濵田:突然ですが、「観光」の語源ってご存知ですか? Q:いえ、存じ上げないです……観光の語源を教えてください。 濱田専務から突然の「観光の語源とは」クイズ、驚きとともに勉強になりました(photo by Hiroki Yoshida) 濵田:「国の光を観る」というのが観光の語源なんですね。私たちは主にホテル業ですが、観光業に携わる龍名館グループとして、日本という国や日本文化をホテルの中に組み込み、それらに光をあてて、日本という国や文化の良さを“観せる”ということを意識してきました。 […]