日本茶マスターコース 2023年10月

第二回日本茶マスターコース2023が10月に開催されました。たくさんの面白いお茶ツアーと数え切れないほどのお茶で、まさにお茶三昧でした! 4つの大陸から参加した12人の生徒は京都に集結しました。皆さん個性豊かで、何人かはすでにお茶のお仕事をされている方でした。おもてなしやアカデミアといった面からお茶と関わられている方、何か新しいことに挑戦したくて参加した方もおられました。彼らは2週間一緒に日本茶と日本のお茶文化を勉強しました。 そしてもちろん、たくさんの学びがそこにはありました!このコースは授業と茶園訪問の連携コースでした。私たちは著名なお茶のプロの方々に来ていただき、彼らの経験と知識を披露していただきました。生徒たちは伝統的な手動お茶揉み機を体験し、煎茶道(煎茶版の茶道)にも参加しました。そして、お茶研究機関を訪れたりとたくさん体験する機会がありました。数えきれないお茶を毎日いただき、2週間はあっという間に過ぎました。 これは2023年最後のマスターコースでしたが、私たちはまた2024年に開催する予定です。詳細はまた近いうちに!お見逃しなく〜

ベルリン・ティーフェスティバル2023

11月17日-19日に、第4回ベルリン・ティーフェスティバルが開催されました。今回私たちは記念すべきこのフェスティバルに参加してきました! このフェスティバルは3日間開催されました。17日(金)はB2B向けに開催され、茶産業に関わるプロの方々の講演がありました。そこでは、私たちのお茶仲間でティースペシャリストのEduardo Molina Anfossiさんも登壇し、ドイツ茶ブランド “Paper&Tea”の成長について講演されました。18日(土)は、様々なメインイベントが開催されました。お茶愛好家がハイリヒ・クロイツ・キルヒエ (聖十字架教会)に集まり、たらふくになるまで美味しいお茶を試飲しながら、1日中お茶の会話で盛り上がっていました。なんと賑やかで活気に溢れる光景なのでしょう!!上質なお茶や茶器が世界中から集まる中、日本茶・日本茶器は一段の輝きがありました。ドイツにある茶輸入販売店”Kos-Tea”では、美味しい日本茶から冷凍抹茶まで様々な日本茶を入手することができます。 そのほかにもドイツにある茶店”Teerausch”と”Teekontor Kiel”ではとても上質な日本茶を幅広く取り寄せています。こちらのお店の催しスタンドでは、宮崎県森本茶農家の「特上かぶせ茶」が参加者に提供されていました。抹茶に着目したドイツ茶ブランド”Aiya”はドイツで「お茶の神様」とも呼ばれている方がオープンしたことから注目を浴びていました。そこの催しスタンドでは、抹茶と玉露の提供が!また、ドイツ・ディーフォルツに本店をおくオーガニック日本茶ブランド”KEIKO Tee”ではお茶の淹れ方のワークショップが開催されていました。そこの本店では、大きくて美しい茶室だけでなく、抹茶を自家製粉する石臼も見ることができます!たくさんのお茶が披露される中、4つの日本茶農家がわざわざ日本からこのフェスティバルに参加しにきていることは、私たちにとってフェスティバルのいちばん盛り上がり部分でした。 “TOKYO TEA BLENDERS”は和紅茶をメインにプロデュースしている、日本各地から集まった日本茶農家グループです。このグループのうち3名が先月ヨーロッパ各地を周り、そして嬉しいことに、ベルリン・ティーフェスティバルにも出場していました。ますいさんちの茶・益井園のEtsuro Masuiさん、カネロク松本園のHiroki Matsumotoさん、釜炒り茶柴本のToshifumi Shibamotoさんがメインホールにてお茶の試飲会を開催していました。試飲会はとても人気で、お茶の愛好家がお茶の話を聞くため・試飲するためとこぞって人混みができていました。緑茶、紅茶が並ぶ中、一味違う香りを持つ和紅茶も試飲ブースにありました。 そのほかには、茨城県吉田茶園の吉田浩樹さんも参加していました。彼は奥さんを連れてヨーロッパを周っている中で、今回私たちと一緒に参加することになりました!浩樹さんとGJTeaメンバーのAnnaさんは現在の日本茶の状況を語った後、吉田茶園を一緒に紹介しました。セミナールームは40人以上の参加者で満席でした!浩樹さんの奥さんは私たちのお茶仲間の一人であるLilia Hansonさんと一緒に煎茶、そして希少品種「イズミ」で作った和紅茶を参加者に配る準備をしていました。私たちの講演会・試飲会にたくさんの方が参加してくださったこと、たくさんの方から興味を持っていただけたことは私たちにとってとても嬉しい限りです! 開催最終日の日曜日は少し落ち着きがありましたが、様々なことが起きていましたー市内の各地でフェスティバルが開催されたのです。”TOKYO TEA BLENDERS”は試飲会を開催し、前日とは異なり、より落ち着いたペースでの提供でした。お茶について話せる時間も増え、ゆっくりとした味わいを参加者は楽しんでいました。 たくさんの私たちのお茶仲間がフェスティバルに参加していました。見慣れた顔をあちらこちらで見られたのはとても嬉しかったです。そしてついにオンラインでしか会ったことがないメンバーに対面越しに再会できました!何人かのメンバーと晩御飯を食べたり、今回のフェスティバルとお茶について話し合ったりと、より深く知り合うことができました。 2週間ほどが経ちましたが、いまだにベルリンでの様々な出会いと出来事の余韻に浸っています。そして、素晴らしい茶コミュニティに感謝です!お茶の提供をしてくださった方、写真を撮ってくださった方、協力してくださった方、お話をしてくださった方、ブースに訪れてくれた方含め皆さん、ありがとうございました。特に、この記事中の写真を撮ってくださったSofie […]

全国手揉茶振興大会 2023年

近頃は、日本茶は機械による茶揉みが主流であり、人間による手揉みでの日本茶づくりは遠い昔のものになってしまいました。昔の風習を継承していくためにも、全国手揉茶振興大会が毎年開催されています。今年、第27回全国手揉茶振興大会は静岡県にある藤枝市で開催されました。 大会では、手揉み後の茶葉は見た目、香り、味の3項目で審査されます。興味深いことに、手揉みの工程自体は審査対象ではありません。綺麗な茶針を成形するまでの工程は5時間にも及ぶ手作業を伴います。それぞれのチームは一度蒸された冷凍茶葉を受け取ることから大会はスタートします。最初の工程では、弱風を茶葉に当てることで茶葉を温め、表面の湿気を取り除きます。その後、茶葉中心部の湿気を取り除くため少しずつ外から圧力をかけていきます。そして細心の注意を払いながら、茶葉を美しく・細長い針状の茶葉へと形成していきます。最後に、出来上がった針状の茶葉を一定時間放置し、乾燥させます。この手揉みの工程が終わると、審査員が各チームの茶針を評価します。 今年、全国から計23チームがこの大会に出場しました。中でも、静岡と京都からの出場者が大部分を占めました。そしてなんと!嬉しいことに、私たち団体の代表者である鈴木シモナを含む京都から出場した和束チーム:細井堅太(細井農園)、喜多章浩(京都おぶぶ茶苑)、鈴木シモナ(国際日本茶協会代表者)は、厳しい審査を経て1位を受賞しました!!

グローバルティーパーティー(7/22東京・7/29京都)

国際日本茶協会が日本茶エバンジェリストともに実施する、日本茶を世界へ広めるためのカンファレンスです。 今回が、記念すべき第1回目のグローバルティーパーティー。初年度は、東京と京都の2会場で実施します。会場は、東京は東京国際交流館、京都は京都市国際交流会館という、素晴らしい会場をご用意しました。 東京国際交流館 京都市国際交流会館 内容としては、国際日本茶協会のミッションである「日本茶の魅力をどのようにして世界に広めてゆくか?」という観点から、その最先端にいる日本茶エバンジェリストが見てきた世界各地の日本茶事情のレポートを聞きながら、参加者みんなで想像を広げてゆくミーティングです。 また第2部では、日本を代表するお茶をティスティングしながら、交流できる時間も設けます。お茶は、日本茶アワード受賞茶、出品茶受賞茶など日本を代表するお茶をご用意します。 参加者は、日本茶エバンジェリスト第1期生(すでに海外での日本茶PR経験のあるエバンジェリスト)とこれから世界へ旅立つ日本茶エバンジェリスト第2期生を中心に、茶業界人、国内外の日本茶ファンなど合計70名が2会場に集まる予定です。 ご興味のある方は、ぜひご参加ください。詳細につきましては、お申し込みページに記載しております。

日本茶エバンジェリスト 2022

日本茶エバンジェリストプログラムは、留学に行く日本人学生に焦点を当てた新しいプログラムです。2022年が初年度の開催でしたが、大成功を収めることができました。 日本茶は古風なものと思われがちで、若者世代は関心を示さないのではないかという懸念がありました。しかし、本プログラムに56人もの学生から応募があり、それは間違いだったことが証明されました。当初は20名の募集を予定していましたが、想定以上の関心の高さに27名までの増員を決めました。 新日本茶エバンジェリストたちは、まず日本茶に関する1週間の集中研修を受け、お茶の歴史、生産、品種、そして淹れ方について学びました。その後、彼らが実際に茶畑を訪問する機会もありました。一グループは京都府のおぶぶ茶苑を、もう一グループは茨城県の吉田茶園を見学しました。 そして、夏の終わりには全員が留学のため日本を旅立ち、日本茶エバンジェリストは合計15カ国・4大陸(ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリア)に広がりました。 1月21日、プログラムは最終の報告会で幕を閉じました。まだ多くのエバンジェリストが留学中のためオンラインでこのイベントに参加し、4時間以上にわたって日本茶のプロモーション活動とホスト国でのお茶に関する発見について発表しました。エバンジェリストの中には、ホストファミリーや大学の友人のために日本茶を淹れた学生もいました。また、数人は大きなイベントで数百人にお茶を振る舞いました! 日本茶エバンジェリストたちの熱意がよく伝わってきた、2023年もこのプログラムを続けることを考えています。詳細は追ってお知らせします。

バイオスティミラント資材の実証実験

バイオスティミラントって聞いたことがありますか? バイオスティミラントとは、植物に対する非生物的ストレスを制御することにより気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、健全な植物を提供する新しい技術です。 (日本バイオスティミラント協議会ホームページより) 現在の農業では、 ①優秀な作物遺伝子資源の開発:品種改良のこと②植物栄養の供給:肥料やりのこと③生物的ストレス(害虫、病気、雑草):除草、農薬散布のこと の制御が品質の良い農産物を生産する作業の中心です。 バイオスティミラントは、それらの3つに加えて、農作物が、発育の過程で受ける生物的ストレスおよび非生物的ストレスを軽減することにより、植物本来が持つポテンシャルを最大限引き出すことを目的とした考え方に基づいて、作られた資材です。 作物は、もともと、種の時点で、収穫時の最大収穫量が遺伝的に決まっています。ところが、発芽時や、苗の時期、開花期、結実期、収穫直前などに、病気や害虫(生物的ストレス)、高温や低温、物理的な被害(非生物的ストレス)により、本来、収穫できるはずだった収量が、非生物的ストレスと生物ストレス(下図の赤と白の)によって減少していくことを示したものが上図です。この減少量のことを、収量ギャップと表現します。このうち、非生物的なストレスによる収量減少を軽減することがバイオスティミュラントの役割です。 (日本バイオスティミラント協議会ホームページより) 今回、スペインの バイオベンチャー企業のバイオレゾン社と共同で、京都府和束町の茶畑にて、バイオスティミラント資材の実証実験をおこないました。 今回、使用したバイオスティミラント資材は、こちらのバイオ増強剤・Algafert。 このバイオ増強剤・Algafertにより、早春の凍霜害を防ぐことを目的としています。 作業自体は、農薬の噴霧とほぼ変わりません。 また散布後も特に変化はありません。(当然ですが。)今春の新芽が萌芽する頃になにか変化が生まれていたら、本当に素晴らしいです。

新プログラム 日本茶エバンジェリスト

ここ日本において日本茶はもはや古臭いように思われ、若者に至っては滅多に飲むことも、ましてや昔ながらの飲み方をすることもないという通説があります。若者世代にお茶をより身近に感じてもらう必要があることは明らかです。そこで、私たちは新たな取り組みの一つとして日本茶エバンジェリストプログラムを立ち上げます。 本プログラムは今年海外に留学する日本の大学生を対象としています。学生らは留学の際、自国の文化を他国学生に伝える大使の役割を担うことが往々にしてあります。しかし、日本人学生は自国文化について深く知らないという話をよく耳にするでしょう。日本茶は日本文化の非常に奥深い部分にあるため、学生らが日本茶について学び、留学先で発信できるよう取り組みます。この2つの活動を通じて、世界中の学生から日本茶への関心を集め、同時に日本の学生たちにも改めて日本茶への関心を持ってもらえるよう願います。 今年は世界各国に留学予定の学生を20人集めることを目標にしています。今年留学を予定しており、本プログラムに関心がありそうな日本人学生をご存知であれば、ぜひ特設ページもご覧ください。

日本茶の味は地域で変わる

日本茶の味と聞いて、真っ先にイメージする物とは何ですか? 出汁の様な旨味? スッキリとした苦さ? それとも渋―い、田舎の爺ちゃん婆ちゃんの家で出されるような味? 日本茶の味は、旨味、甘み、苦味、渋みの4つに大きく分かれますが、どの味を追求するかは生産する地域や栽培の仕方によってバラバラです。そして特に大事な事は「○○県のお茶はこういう味だと自分は知っている。だから○○県のお茶なら何でもいい」という考えは不適切であり、そういう思い込みは「どうして俺はこんな物を買ってしまったんだ・・・」と後悔する結末になりがちです。 自分が住んでいる静岡県のお茶を、例として説明します。静岡のお茶の傾向は、地域によって大きく二つに分かれます。今回は代表例として本山茶と、牧之原茶を挙げます。 ●本山茶:本山は静岡市の山間部、藁科川と安倍川の上流域 足久保一帯にある地域で生産されたお茶です。 深山幽谷、茶幻郷、皆さんがイメージする ザ・茶畑 そのまんまの光景が広がっています。静岡駅から車で20分あれば行ける場所なので静岡による機会があれば是非どうぞ。本山茶の特徴は「旨味」または「甘味」の味が先に来て、後味は「苦味」があり、蒸し方は浅蒸し~中蒸しの傾向があります。「お茶自体が持つ風味を極限まで追求したお茶」だと言われています。火香については茶問屋の火入れ具合にもよりますが、自分の経験だと 1000円/100 g辺りだと火香が感じられ、1500円/100 g以上だと殆ど火香は無く、青葉or海苔の香りがしました。本山茶は食事と一緒に飲むよりはお茶の時間に絞って飲んだ方が楽しめると思います(自分は四六時中飲んでいますけれど) ●牧之原茶:牧之原は明治時代に開拓された少し高い台地の上に広がる巨大な茶産地のお茶です。晴れた日に行くと「太陽、空、緑色」の世界です。カテキンが充満しています。牧之原茶の特徴は山間よりも強い日差しの下で育つ為、葉が硬い事です。その為、本山茶と同じ浅蒸し製法では、ゲキニガの液体しか出来ません。よって蒸し時間を長くした中~深蒸し製法を行うか、寒冷紗などで覆いを被せるなどの工夫を重ねて作られています。「作り手の意思に合わせて改良を加えたお茶」だと言えます。その為、濃い旨味を持つ場合もあれば、苦味と渋みだけのお茶もあるなど、豊富なバリエーションを持っています。ただし、全体的にパンチの効いた味なので、空きっ腹で飲むと大抵後悔します。食事の後に飲むか、紅茶と同じようにお茶菓子をお供に飲む事をお勧めします。上の二つはいずれも静岡県を代表する産地のお茶です。同じ県内でも大きく個性が分かれているという事が伝わったでしょうか? 付け加えて言うと、お茶の味は生産者の育て方、茶問屋がどう手を加えたかで更に変化します。産地だけでお茶を選ばず、生産者の発信する情報、売る人の商品説明、そしてできれば適切な淹れ方で淹れたお茶を試飲してから購入する事を自分はお勧めします。 伊澤龍一