《茶✕ペアリング》お茶の価値と可能性を「食事やデザートとのペアリング」でさらに高める。【LogiConnecTea/河野知基】

十数年前まで、お茶といえば「深蒸し煎茶、合組(ごうぐみ:茶葉のブレンドの意味)、100グラム千円」が定番だった。しかしこの十年、お茶は画一的な飲み物から、シングルオリジン、和紅茶といった多様で個性あふれる飲み物へとガラリと変貌した。その流れから「お茶を食事やデザートとどのように合わせるか?」という視点、「お茶のペアリング」が、注目を集めるようになってきた。

2018年には日本お茶のペアリング協会が設立された。

またソバーキュリアス(あえてお酒を飲まない選択)、スマートドリンキングといったノンアルコールのトレンドも「お茶のペアリング」の可能性を広げている。

「お茶のペアリング」という考えが広がりつつある一方、お茶を購入する際に「このお茶に合う料理(デザート)は?」と尋ねてみてもなかなかピンとくる答えに出会えなかったりするのも実情だ。

お茶のペアリングをホテルやレストランでも監修しているLogiConnecTea代表 河野知基さんにお茶のペアリングについて、お話をうかがった。

河野知基(かわの ともき)
大学で管理栄養士の資格を取得後、レストランにて4年勤務。独立後、食中茶にフォーカスしたお茶卸販売業「LogiConnecTea」を立ち上げる。2022年に小売販売事業として、お茶ギフト専門・提案型オンラインショップ『お茶を贈る人』をスタート。2023年に築120年の蔵を改装した古民家ティースタンドとして「お茶を贈る人 本店」をオープンした。
常に茶産地へ足を運び、お茶の見極めと自由で新しい日本のお茶のカタチを提案している。

お茶と料理を合わせる「お茶のペアリングとは」

Q:お茶のペアリングとはなんでしょうか。

河野:食事やお菓子といった「食べ物」と「お茶」の組み合わせを愉しむことです。

食べ物とワインとのペアリングは、近年レストランにおいて一般的になってきましたが、そのワインの部分がお茶に置き換わったものを「ティーペアリング」といいます。

Q:河野さんがお茶のペアリングをしようと思ったきっかけを教えてください。

河野:地方のレストランで働いていたとき、ノンアルコールを強化する必要性を感じ、私が指揮を執ることになりました。

河野さんペアリングの道へ進むきっかけとなった地方レストランで働いていたころの河野さん
当時は今ほどお茶のことを知らなかったのですが、それでも少しずつ3種類のお茶を用意し、合わせ、お客様にそのお茶を選んだ意図を説明するということを1年くらい続けていると、明らかにお客様から返ってくる反応が変わってきたんです。リピート率も上がりましたね。

そこでお茶の可能性を感じたというのは原点としてあるのかもしれません。

Q:いちばん最初に提供したお茶はどのお茶でしたか。

河野:この流れでお話するのも恥ずかしいですが、インドのダージリンでした(笑)

ブレンドティー河野さんはご自身でオリジナルのブレンドティーもつくったりされる。
最初は私もお茶のことをほんとうに知らなくて、日本には良いお茶がないんだとさえ思い込んでいました。

ご縁があり、お茶の生産者さんのところへ行くようになって、日本でこんなにも良いものをつくる方がいらっしゃることに気がつきました。

よくよく考えてみれば、「日本で育った、日本の食材を、日本人が料理しているものにお茶を合わせるなんて当たり前というか……それが一番スムーズだし納得できるよな。」とさえ思いました。

この考えに辿り着くようになってからはもう、お茶にのめり込んでいきました。

Q:ご縁のあったという、お茶へシフトしていくきっかけとなった生産者さんはどなたですか。

河野:茨城県の吉田茶園さんですね。吉田さんがつくっている紅茶と、吉田さんが紹介してくださった猿島の木村製茶工場さんの烏龍茶。この二つを飲んだ時に世界が変わりました。

吉田茶園茨城・吉田茶園にて6代目吉田正浩さん(左)と紅茶づくりを体験する河野さん(右)
お茶の可能性も感じましたし、これだけ情報を集めていたはずなのに気づけなかったということにショックも受けました。

「最高の脇役に徹する」。ペアリングにおけるお茶の役割。

Q:河野さんが考えるペアリングにおけるお茶の役割を教えてください。

河野:お茶のペアリングを考える上での大前提として、あくまでお茶は「最高の脇役に徹する」ことが重要です。

これは私がレストランでサービスマンをしていた時代から、全ての飲料に通づるところだと思っていますが、レストラン、飲食店といった場所で食事を楽しむ場合のペアリングはあくまで付加価値なんですよね。主役はお茶ではなく、食事とお客様の空間です。

食事があり、お客様がいて、空間がある。そこに、いつもより何か会話が弾んだり、ちょっと華やかな気持ちになれる“なにか”があった。それってなんだろうと考えた時に嗜好品があったから、料理や口にあうワインやお茶があったからというところに辿りつくと思っていて。

なので私のなかではお茶のペアリングをする上でお茶が最高の脇役に徹するということが最低条件だと思っています。

logiconnectea

「同調」「対比」「補完」。ペアリングで“波”を生み出す。

Q:「最高の脇役に徹する」という役割をもつお茶のペアリングの考え方について教えてください。

河野:嗜好飲料と料理を合わせたとき、それが驚きも含めた快感として返ってくるのがお客様を満足させるペアリングです。

logiconnnectea料理とお茶を愉しむことを忘れ、河野さんのお話に耳を傾けたくなるほどに計算し尽くされたペアリング
お茶と料理の合わせ方のロジックはいくつかあります。例えば基本的な合わせ方は、「同調」もしくは「対比」、「補完」ですね。

それぞれ和牛ステーキとほうじ茶のペアリングを例にご説明しますね。

一つ目の「同調」は、香りや味わいが似た食材とお茶をあわせる方法です。これが一番簡単でわかりやすいペアリングかと思います。

例えば、「同調」という観点で、和牛ステーキとほうじ茶でペアリングする理由はひときわ脂が華やかな和牛と、華やかさのあるほうじ茶はとても相性が良いのです。

二つ目のペアリングは「対比」です。これは、味わいが全くかけ離れているような料理とお茶を合わせる方法です。お茶はこの対比において特に優秀です。

この場合は料理を食べた後にお茶を飲むことによって口の中がリセットされ、もう一度その料理を食べたくなるという衝動に心を動かすことができます。

和牛ステーキとほうじ茶の話を例にすると、お肉を食べた後にほうじ茶の渋みで口の中がリセットされる、これが対比になります。

テクニカルなのは「補完」ですね。

そのお茶がもっている香りや味わいを理解し、それらを料理に付加することによって、新しい味わいや楽しみを生み出すというものです。いわゆる“エッセンス”を足しているんです。スパイスやハーブに置き換えて考えてみると想像しやすいと思います。

これまた和牛ステーキとほうじ茶の話で例えますと、ほうじ茶を合わせると、和牛ステーキが炭焼きしたような香りになります。

焼いた牛肉のステーキに、焙煎されたほうじ茶のスモーキーな香りが合わさることによってお茶の香りとお肉の旨みが調和し、味わいが複雑になり、炭で焼いていないのに炭焼きのお肉を食べているような感覚が楽しめます。

ペアリングの主軸は「同調」、「対比」、「補完」、この3つです。さらにこの主軸の3つを組み合わせることによって精度を高めていきます。

そしてコースペアリングでは、“波”が重要です。

コースで提供される料理に対して使うお茶を全て「同調」で組み合わせた場合、これには変化がないんです。最初の一品目は感動していただけますが、2、3……と品数を追うごとに同調のペアリングに慣れてしまい、感動は薄れていきます。

コースが終わった時に「おいしかったね」「楽しかったね」ではなく、「次もまた頼みたいね」という言葉を言ってもらえなければならないのです。

つまり脇役に徹しつつも、3つの主軸を使い、いかにコースのなかに“波”をつくれるかが、お客様の満足度、すなわちペアリングの精度となります。

お茶のペアリングでコースに“波”を意識しているお店は、まだまだ少ないというのが現状です。

いま、お茶のペアリングは夜明け前。まだ”ただ広まっているだけ”という状態

Q:お茶のペアリングの現状を教えて下さい。

お茶を贈る人食事とお茶のペアリングを楽しんで頂くディナーの仕込み
河野:お茶のペアリングの前に、ノンアルコール飲料全般のペアリングについてですが、私がいたレストラン業界では、ノンアルコールのペアリングって4年ぐらい前からトップレストランと言われる店を中心に広まってきたんです。でも正直なところ、“ただ広まっているだけ”という印象です。

お酒のペアリングに寄せているけれど、お酒には敵わないノンアルコールのペアリング、というクオリティで止まってしまっているのが現状です。

「ペアリング」という言葉がかっこいいですし、日本でブームになりつつあるので、「ペアリング」という言葉自体が少しずつ浸透してきていますよね。

だからこそ、その言葉だけが先走ってしまい、本質的な部分が見落とされてしまいがちだと私は感じています。

Q:お茶のペアリングの本質的な部分が見落とされているなと感じるのはどのような状況でしょうか。

河野:たくさんありますが、例えばお茶をサーブしてくれた時にそのお茶を選んだ理由を聞いても説明ができない状況ですね。

ティーペアリング

ワインのペアリングは多くの方によって研究されている分野なので、ある程度マニュアルのようなものが完成されています。「この食材の産地と同じ産地のワインを合わせてみる」、「料理の味わいからこのワインの味わいが合うと判断する」といったアプローチが入ることによってペアリングが完成されています。

しかしお茶のペアリングになった途端、どうしてそのお茶を選んだのか質問すると「業者さんが〇〇茶園さんのお茶がおいしいと言っていた」「会ったことがある方だから」という理由で終わってしまうことが多いなと感じています。

茶商さんがおすすめしてくれたお茶を使うのも、会ったことのある農家さんがつくったお茶だから使うのも、もちろん良いです。しかしそれだけで「お客様がお金を払う価値があるか」といわれると話は別になってきます。

そのお茶をお客様に提供する意図、理由を説明できなければ、価値を提供しているとは言えないと思っています。

logiconnecteaバーのお店に、お茶の提供方法のレクチャーをする河野さん
もう一つ。

お茶のペアリングのアプローチが、まだまだ確立されていないため、手探りで提供されていることも多いのが現状です。

飲食業界の方々は一般の人と比べると味覚・嗅覚が鋭いです。そのような方々が、お茶のペアリングに興味を持ち、提供し始めてくださっています。しかし、お茶のペアリングのアプローチがまだまだ確立されていないため、提供する側の中でもまだまだお茶のペアリングが落とし込めていないのです。

落とし込んでいない状態で、仮説ベースで食事と合わせようとしてしまいがちなので、そこにクオリティが生まれないし、伴わない。

そうすると心が動くような感動するペアリングを提供できないため、お客さまも「あくまでノンアルコールのレベルだよね」という印象だけで終わってしまうのです。

Q:お茶のペアリングという言葉が認知されつつあるにも関わらず、先走ってしまっている要因はなんだとお考えでしょうか。

河野:これも色々な要因はあるかと思いますが、一つは確実にコロナです。

お茶を贈る人埼玉・はかり屋の中にある「お茶を贈る人」
コロナになったことによって弊社も売り上げがとても伸びました。お茶のペアリング業界がとても動いていると感じた一方、ただアルコールの提供ができないからという理由だけでとりあえずお茶のペアリングを導入してみたという方がとても多かったのです。なのでお茶のペアリングは認知されているが、そこにクオリティが伴わないということが起こってしまっているのです。

日本茶(特に発酵茶)のクオリティが少しずつ高くなってきている一方、そのお茶の見極めができる人が圧倒的に少ないことと、情報の少なさにあると思います。

大まかにこの二つがお茶業界においてペアリングの言葉だけが先走ってしまった要因だと私は考えています。

だからこそ、今のタイミングがとても重要だとも思っていて。飲食業界だけでなくお茶業界も巻き込み、お茶のペアリングについて考えなければ中途半端なレベルでの伸び方になっていってしまうと思います。

Q:ミクソロジー(Mixology:「Mix(混ぜる)」と「Ology(―論)」を組み合わせた造語)についてはどのようにお考えですか。

河野:お茶のペアリングとミクソロジーはまた別物ですね。ミクソロジーはお茶のポテンシャルを理解しながら、それを一つの食材として使っているという印象です。

お茶を価値あるものと認めてもらうために。お茶を使って思いをロジカルに伝える、LogiConnecTea

Q:LogiConnecTeaが取り組んでいることについて教えてください。

河野:多岐に渡りますが……まず主軸はお茶の卸です。国産発酵茶を含めたお茶を全国からセレクトし飲食店へ卸すという仕事。もう一つはオーダーメイドのブレンドティーを手がけています。もう一つは「お茶を贈る人」という名前でギフト事業をやっています。

お茶を贈る人埼玉・はかり屋の中にある「お茶を贈る人」には手土産に喜ばれそうなギフトもたくさん
他にもレストランへのメニュー監修、スタッフ育成の監修、講師の活動、ブランディング、コンサルティングをしたりもしています。

コンサルティングだけ抽象度が高いと思うので少しだけ具体的に説明すると、お茶に関わる商品や商材をどのようにお客様に伝えていくか、企業にアプローチしていくかという部分に関わっていたりします。

Q:LogiConnecTeaの由来を教えてください。

河野:自分の根底に何があるかと考えた時に、生産者の方々にとてもお世話になっているなと。私は生産者の方々の、お茶を突き詰めてとことん良いものをつくる・極めるという姿勢に心を打たれてお茶業界に入ってきているんですね。しかしお茶が評価をされていないということにも危機感があり、お茶のペアリングを通して、価値のあるものと評価してもらえるように、この仕事をしています。

ティーペアリングどの焼き菓子にはどのお茶が合うかの検証中
そういった自分の原点・きっかけを思い返してみると、お茶業界に入った想いを飲食店や取引先に伝えていくということが会社の大きなミッションになると考え、想いのこもったお茶で論理的(ロジカル)に繋げていくという造語でLogiConnecTeaとしました。

Q:お茶は河野さんにとってどのような存在ですか。

河野:大きなことは言えないですが……。繋がるためのツールですね。

生産者のかた、お客様、取引先、全ての方々と繋がるためのツールであり、そうなり得ることがお茶の魅力だと思っています。

Q:この事業に取り組んでいて感じる一番の魅力をお聞かせください。

河野:お客様へのアピールポイントは、LogiConnecTeaは食とお茶の両方のノウハウをもち、アプローチするということに特化をしていることです。この食とお茶両方のノウハウを持っている会社というのは現状ほぼないので。

お茶を贈る人

もう一つ、「お茶を贈る人」というギフト事業が主な話になりますが、今まで続いてきたお茶文化やお茶という商材を今の時代にあった見せ方でアプローチすることができるというのも魅力の一つかなと思います。

そういったことを事業としてやっている私のやりがいは、大きく二つです。

一つは生産者の方々のレベルが向上することに役立てていること。

私はお茶農家さんとチームだと思っています。産地や農家さんのところへ直接お邪魔して「ここはこうしたほうが良いんじゃないか」とお互いに話しあえる。この対話によってお茶のレベルが上がっていくことをとてもやりがいに感じています。

お茶を贈る人季節メニューとして提供され、大人気だったピーチアールグレイ
もう一つは、お茶が嗜好品であると認知されていくことです。お茶は嗜好性のあるものなので、良いものをつくり提供すると、お客様はそれを求めて買いにきてくださる。この求めてきてくださるというのが良い流れだなと思っています。

その流れが少しずつですが、見えてきている部分があるのがやりがいに繋がっています。

Q:河野さんが取り扱うお茶の特徴はありますか。

河野:私が取り扱う生産者の方々は基本ベースはあまり旨みの強くないものが多いのです。

旨みがつよいとお茶が主役になってしまい、脇役に徹することができなくなってしまうんです。

Q:河野さんが取り扱うお茶は何か縛りを設けているのでしょうか。

河野:特に完全なる縛りは設けていないですが自分の中の基準としては「飲み心地」がとても重要です。

テイスティング数種類のお茶を一気にテイスティングする河野さん(左)
「飲み心地が良い」は伝わりにくいと思いますが、食中に合わせたときに何杯でも飲みたくなるお茶と思っていただくのが良いかもしれません。何杯提供されたとしても飲み疲れないという条件でお茶を選ぶようにしています。

その「飲み心地」という基準で選んでいくと無農薬無施肥、有機のお茶を取り扱うことが多くなり、そうすると自然派ワインに通じるところがあるなと思ったりもしますね。

Q:自然ワインという言葉が出ましたが、河野さんはお茶のペアリングで参考にされているものはありますか。

河野:茨城県の自然派ワインインポーター ヴィナイオータさんから学ぶことは多いなと思っています。

個人的にはビオワインの広まる流れとお茶の広まる過程は似ている気がするんですよね。最初は名前が出てきて、でも良いものと悪いものが混在してしまう。クオリティが伴わない。そこにやはり良いものを突き詰め、集め、広めていくという基準を、ビオワインの世界でつくったのが太田さんなんです。

自然派といわれるゆえんは、無農薬、自然発酵、酸化防止剤の不使用など様々ですが、なるべく自然の力でつくられているというのが自然派です。

私は自然派だからすべて良いとは思っていませんが、クオリティの高いものであるというのが最低条件です。

自然のものを扱っていく上で、人間が手を加えるということは不自然に近づくことですよね。「自然」と「栽培」という相反するものの狭間を見極めて製品にするというのが生産者の方々の技術だと私は思っていて。その考え方にお茶と自然派ワインは通ずるものがあるなと思っています。

お茶をつくる人・売る人・使う人。チームをつくってお茶業界を押し上げる

Q:LogiConnecTeaの描く将来のビジョンをお聞かせください。

河野:生産者と卸と飲食店、つくる人・売る人・使う人がチームとなりタッグを組んでお茶業界を押し上げていくというのが私の中での目標です。

吉田茶園生産者とも密に連携をとる河野さん(真ん中)。写真は茨城・吉田茶園へ研修に訪れている様子
今の3~5倍くらい、お茶を流通させられるようにもっていきたいと思っています。

そもそも日本茶市場は国内からみても、海外からみてもとても小さいですよね。
お茶の輸出も増えていますが、全体を俯瞰すると国内での流通で終わってしまっているという現状があります。

私自身、海外輸出へアプローチできたら良いなとも思っています。

Q:お茶を取り扱う難しさがあればお聞かせください。

河野:一つはお茶業界人も消費者も固定概念が大きいことです。

いい意味でブランドがつくられてきて「お茶」というものがありますが、それが今の時代にはそぐわなくなってきているとも思います。

お茶は長い文化を紡いできただけにお茶を飲むシーンや価格帯などに対して固定概念の存在も大きく、その固定概念を壊していくというのが難しさであり、楽しみだとも思っています。

Q:これからのお茶業界はどのようになっていくと思いますか。

河野:発酵茶の視点が多くなってしまいますが、お茶業界は伸びていくと思います。少しずつ認められ、伸びるのではないかなと。ただその伸び方は適切であってほしいと思います。

メディアやメーカーが発信する情報がお茶を語る上で全てではないという共通認識をみんながもっていてほしいなと思います。

また、お茶業界の話になりますが、紅茶は本質的なつくり方を知らない生産者の方が多いので、業界の中で適切な情報が出てくるようになり、紅茶の作り方を学べるようになると業界レベルの底上げに繋がるのではと思っています。

多くのお茶農家さんは、もっと品質の良い紅茶を作れるポテンシャルを持っていると思います。ただ現状、その方法がまだまだ知られていないだけだと思うんです。

だからこそ、その善し悪しの判断がつくような情報が業界内にもっと出てくると良いなと感じますし、私自身も発信していきたいと思っています。

All photo by LogiConnecTea