第7回阪神日本茶フェスレポート

2026年5月27日から6月1日まで、大阪・梅田の阪神百貨店で「第7回 阪神 日本茶フェス」が開催されました。 本イベントは、埼玉県の老舗茶舗・松澤園の三代目店主である松澤さんがプロデュースを手がける人気イベントで、日本茶ファンにとって毎年恒例の催しとして定着しています。例年、新茶の季節である初夏に開催されるのが特徴です。   今年のテーマは「お茶で楽しむ自分時間」。会場では、その年に摘まれた新茶はもちろん、近年注目を集めている番茶や和紅茶、国産烏龍茶など、さまざまな日本茶が紹介されました。さらに、出店者が厳選したお茶に合うスイーツや、多彩な茶器も並び、自宅でのお茶時間をより豊かに楽しむためのヒントが詰まった内容となっていました。 会場には、関西をはじめ全国各地から個性豊かな茶農家や茶舗が集結。萎凋煎茶のペアリング体験や和紅茶の飲み比べ、ほうじ茶の焙煎体験など、さまざまなワークショップも開催され、多くの来場者で賑わっていました。 私たちも毎年楽しみにしているイベントですが、週末は非常に混雑することが多いため、今回は平日に訪問しました。おかげで比較的ゆっくりと会場を回ることができました。それでも、どのブースでも気軽に試飲を勧めてもらえ、ほとんど立ち止まるたびにお茶を味わうことができました。 新茶シーズンならではのイベントということもあり、全国各地の採れたての新茶を飲み比べられるのは大きな魅力です。一方で、岡山県の美作番茶や埼玉県の萎凋煎茶など、普段はなかなか出会う機会の少ない地域のお茶に出会えるのも、このイベントならではの楽しみでした。 特に印象に残ったのは、岡山県の「小林芳香園」のブースです。名物の番茶に加え、関西ではあまり見かけることのない四国のお茶も取り扱っており、いくつか試飲した結果、高知県産のお茶を購入しました。ブースには岡山を代表する伝統工芸である備前焼の茶器も展示されており、お茶だけでなく地域の文化やものづくりにも触れられる内容となっていました。 今年のフェスで特にユニークだったのは、焼き芋スイーツ専門カフェと出店茶舗によるコラボレーション企画です。会場内のカフェでは、いくつかのスイーツに対して相性の良い日本茶が提案されており、実際にペアリングを楽しんだあと、そのお茶を会場内の生産者ブースで購入できる仕組みになっていました。さらに、ドリンクに使用されていた茶器も、会場に出店していた美濃焼の窯元のもの。実際に使い心地を確かめながら、お茶と茶器の両方を体験できるのも魅力でした。 私たちは、コーヒー風味のバターサンドと静岡県産の深蒸し茶の組み合わせを選びました。スイーツはティラミスを思わせるような味わいで、クッキーの間にはクリームとコーヒーでコーティングした干し芋がサンドされています。一見するとコーヒーと深蒸し茶は意外な組み合わせにも思えますが、実際に合わせてみると違和感はまったくありません。クリームや干し芋のやさしい甘さが深蒸し茶のまろやかな旨みと見事に調和し、とても自然で完成度の高いペアリングでした。 売茶中村のブースでは、ひときわ個性的な新作の抹茶にも出会いました。ナッツを思わせる香ばしい香りが印象的で、飲んでみると焙煎由来の風味がしっかり感じられます。それでいて、焙煎茶にありがちな茶色ではなく、美しい緑色を保っているのが特徴的でした。スタッフの方によると、特にミルクとの相性が良く、抹茶ラテにするとその魅力がより引き立つそうです。 今年は茶器の出店も充実していました。なかでも印象的だったのが、作家ものの茶器を数多く扱う「急須と器 いそべ」です。商品を展示するだけでなく、実際に急須へお湯を注いで使い心地を試せるようになっており、持ちやすさや重心、注ぎやすさなどを自分の手で確かめることができました。購入前に実際の使用感まで体験できるのは、とても貴重な機会だと感じました。 阪神日本茶フェスの魅力は、お茶を買うことだけではありません。お茶を味わいながら生産者や専門家と直接話し、お菓子とのペアリングを楽しみ、新しいお茶や作り手との出会いを楽しめることにあります。「少し見るだけ」のつもりで訪れても、気がつけばたくさんのお茶や茶器を抱えて帰ってしまう――そんな魅力にあふれたイベントです。 このイベントは毎年、新茶シーズンに開催されています。これから初夏に大阪を訪れる予定のある日本茶好きの方は、ぜひ旅の予定に加えてみてはいかがでしょうか。 最新の開催日程や出店者情報は、公式SNSで随時発信されていますので、ぜひチェックしてみてください。 @chajin.matsuzawa / @hanshin_1ffoodevent

ママのための日本茶サークル「茶べり場」

2025年11月11日、京都・伏見にある墨染寺にて、新しいコミュニティサークル「茶べり場」の第一回が開催されました。 記念すべきでは、その日のお茶として抹茶が選ばれ、参加したお母さんたちがそれぞれ自分で点てる形で楽しまれました。 なお、第2回以降は、煎茶や玉露など、急須で淹れるさまざまなお茶を紹介していく予定とのことです。 抹茶というと、どこか特別で、作法を知らないと難しいものという印象を持つ方も少なくありません。 今回の会では、家庭でも気軽に楽しめるものとしての抹茶が紹介され、基本的な点て方についても紹介されました。 「茶べり場」は、月に一度、お母さんたちが集まり、日本茶とお菓子を楽しみながら、日常の忙しさから少し離れてひと息つくための場です。主宰は、もうすぐ4歳になる男の子を育てる母であり、当協会チームメンバーでもあるMachiです。立ち上げの背景にはいくつかの思いがありますが、その中心にあるのは「お母さんが自分自身に戻れる時間と場所をつくること」。その想いが、この場の大きな軸となっています。 「茶べり場」が生まれた理由 この活動のきっかけは、とてもシンプルです。 それは、「お母さんが自分自身に戻れる時間と場所をつくること」。 日本では、以前に比べて価値観は変わりつつあるものの、家事や育児の多くを母親が担っている家庭はまだ少なくありません。仕事と家庭を両立しながら、自分の時間や休息を後回しにしている方も多いのが現状です。 実際世界的にみておm、日本の母親は子育てに対する満足度が特に低い傾向にあり、また「ほぼ一人で育児をしている」と感じている人も少なくないという結果がとある調査で出ています。日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに負担を抱え込みやすい環境があるのかもしれません。 忙しい日々のなかで 多くのお母さんたちは、朝早くから家族の食事を用意し、子どもを送り出し、その後仕事へ向かい、夕方には再び迎えに行きます。帰宅後も、夕食の準備やお風呂、寝かしつけと、気がつけば一日があっという間に過ぎていきます。 そんな日々の中では、ゆっくりお茶を淹れて一息つく時間すら、なかなか取れないこともあります。ようやく一杯のお茶を用意しても、途中で手を止めざるを得ない・・・そんな経験に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。 自分のために淹れる一杯 だからこそ「茶べり場」では、月に一度、お母さん自身のためにお茶を淹れる時間を大切にしています。 ここでは、誰かのためではなく、自分のためにお茶を用意します。 Machiが茶葉や淹れ方を紹介しつつも、実際に淹れるのは参加者それぞれ。 普段は誰かにお茶を出すことが多い立場だからこそ、「自分のために淹れる」という行為そのものが、気持ちを整えるきっかけになります。 自分で淹れたお茶がどんな味になるのかを楽しみに待つ時間も、この場ならではの静かなよろこびです。 「自分のためのお菓子」をひとつ もうひとつの小さなルールは、「自分が食べたいお菓子をひとつ持ってくること」。 […]

日本茶スポットライト:Jan Chanさんと煎茶道

日本茶スポットライトtは、日本国内や世界各地で活躍する日本茶のプロフェッショナルをお招きする、ライブ形式の対談シリーズです。毎回、その方が日本茶と出会い今に至るまでの歩み、とりわけ情熱を注いでいるテーマ、そしてその方が暮らす街や国での日本茶の現在地について伺っていきます。 記念すべき第1回のゲストは、煎茶道のスペシャリストであり、カナダのティーカタリストでもあるJan Chanさんでした。長年にわたって中国茶と日本茶の両方に親しみ、Teakan Projectを立ち上げ、茶道を学んできたJanさんですが、そのお茶の旅はやがて煎茶道へとたどり着きました。2025年には、煎茶道 黄檗売茶流から準師範の称号を授かっています。 Janさんには7月22日、2回のオンラインセッションにご登壇いただき、合わせて約40名が参加しました。前半では、ご自身のお茶の歩みと、煎茶道との出会いについてお話しくださいました。続いて、煎茶道の歴史を、その起源からご自身が学ぶ流派の考え方に至るまで紹介してくださいました。お話のあとは参加者の皆さんとの質疑応答の時間となり、たくさんの興味深い質問が寄せられました。煎茶道のお点前(お茶を淹れる一連の手順)や、その実践がJanさんのお茶の淹れ方にどんな影響を与えたかということから、季節感、茶器、伝統的なお菓子まで、話題は多岐にわたりました。煎茶道と茶道、そして工夫茶との違いや、これから煎茶道がどうなっていくのかにも、関心が集まりました。 煎茶道についての情報は、とりわけ実践している方から直接伺えるものとなると、決して見つけやすいものではありません。それだけに、今回はとても引き込まれる、学びの多いお話となりました。国際日本茶協会のメンバーの中にも現在煎茶道を実践している方が何人かいらっしゃいます。煎茶道がまだ広く行われているとは言えないことを考えると、これは実に素晴らしいことだと感じています。熱心なお茶好きの方々の間で関心が高まりつつあるようで、私たちもとても心強く思っています。 もっと知りたいけれどイベントに参加できなかった、という方は、2回のうち1回分の様子を、YouTubeチャンネルでご覧いただけます。 日本茶スポットライトは、2か月に1度ほどのペースで開催していく予定です。9月の次回もどうぞお楽しみに! 文:アナ 訳:茶谷悠太

2026年国際お茶の日を祝して

5月21日は、世界中のお茶の経済的・社会的・文化的な重要性についての認識を高めるため、国際連合によって「国際お茶の日(International Tea Day)」として制定されています。 私たちの国際日本茶コミュニティにとって、この特別な日を共に祝うことは大切な恒例行事となっています。今年は、そのお祝いが3日間にもわたって行われました。まず20日の前夜祭には、オンラインで2回の集まりが開催され、国連食糧農業機関(FAO)が制作した動画を視聴しながら、この日の意義や重要性について振り返りました。その後、参加者それぞれがお茶との歩みの中で最も感謝していることや、特に大切だと感じていることを共有しました。 翌日には、日本・京都で対面での集まりが開催されました。当初は京都御苑で多様な水出し日本茶を楽しむピクニックを予定していましたが、あいにくの大雨のため室内での開催となりました。しかし、そのどんよりとした天気にもかかわらず、お祝いムードはまったく損なわれることはありませんでした。参加者たちは国際日本茶協会のオフィスで、SimonaとMachiとともに、温かく和やかな空気の中で美味しいお茶を楽しみました。 最後のイベントはスペイン・マドリードで開催され、AnnaがShanShan Tea Houseの創設者であるSusan氏とDiana氏、そして中国茶の専門家であるGwen Chesnais氏とともに臨みました。私たちは3部構成のワークショップを実施し、それぞれ異なるお茶の歴史や文化の側面を紹介しました。このワークショップでは、宋代に行われていた粉末茶を点てる伝統から始まり、その文化がお茶とともに日本へ伝わり抹茶へと発展した過程、そして現代におけるお茶文化の新たな解釈までをたどることを目的としました。 この特別なイベントには8名が参加しました。Gwen Chesnais氏は、中国におけるお茶の歴史と、宋代にどのようにお茶が淹れられていたかについて説明しました。当時の粉末茶は、非常にきめ細かい泡が立つまで勢いよく点てられていました。お茶の品質や点てる人の技術は、どれだけ美しく泡立つか、泡がどのくらい長く保たれるか、さらに茶人が水を使って泡の表面にどれほど巧みに模様を描けるかによって評価されていました。 続いてアンナは、日本のお茶文化の起源について話しました。日本のお茶文化は中国から伝わったこれらの習慣を基盤としながらも、次第に独自の発展を遂げ、今日まで受け継がれてきた日本固有の文化へと成長しました。参加者たちは京都府産の上質な春摘み抹茶を自ら点て、ShanShanが手作りした団子とともに味わうことができました。 最後に、Susan氏が現代中国におけるお茶文化の進化について紹介しました。現代的な淹れ方から、新しいスタイルの茶葉を生み出す茶業者たちの革新的な取り組みまで、幅広い内容が語られました。 このイベントは参加者だけでなく、私たちにとっても非常に実り多いものとなりました。お茶の文化が中国から日本へと伝わり、時代や文化を超えて姿を変えながらも、今なお生き続けていることを実感できたのは大変心躍るものでした。現在は世界的な抹茶ブームに注目が集まっていますが、お茶文化そのものは常に変化し続けてきたのです。私たちは、お茶を通じたこの交流によって新たな活力とインスピレーションを得ることができました。国や文化、言語、そして何世紀もの時代を超えて受け継がれてきたこの交流は、今日もなお豊かに発展し続けています。 このお祝いに参加してくださった皆さまに心より感謝申し上げます。そして、この後一年を通じて、日本茶への関心と愛を持ち続けていただければ幸いです。

イベルカンパイ 2026

5月25日と26日に、スペインで開催される日本酒と日本グルメの祭典「Iberkanpai(イベルカンパイ)」の第2回が行われました。今回も私たちは招待を受け、日本茶とおもてなし産業におけるその可能性についての講演をさせていただきました。そして、スペインの大切なTea Fellowメンバーである、Xenia氏とIsabel氏というお二人にも再びお会いすることができました! この祭典は2つのパートに分かれており、一つは出展者向け、もう一つは講演とワークショップが行われるセクションでした。出展者の多くは日本酒業界からの方々でしたが、お茶の視点から見てもとても興味深いものや人々を見つけることができました。Tanaka NLは、はるばるオランダから美しい陶器を展示するために来ていました。彼らは萩焼を専門としており、これまでにも様々なお茶のフェスティバルで何度かお会いしたことがあります。今回は、茶器に加えて、美しい酒器セットも持ってきていました。 素敵な梅酒を試飲した際、それを作った女性が実は大分県出身の日本茶インストラクターだと知り驚きました。ここで茶業界の方とお会いでき、互いの経験を交換し合えたのはとても嬉しいことでした。 私たちのワークショップは、少人数の参加者を対象に行われました。その狙いは、お茶とその起源、そして伝統的なスタイルを紹介しつつ、お茶がまだ日常文化に深く根付いていない国において、その可能性を伝えることでした。健康的でノンアルコールな飲み物の重要性が高まっている今、このワークショップでは、シェフやバリスタ、おもてなし業界のプロフェッショナルたちに対して、日本茶が提供する創造的かつプロフェッショナルな機会を強調しました。 私たちはまた、日本における革新的で意欲的なプロジェクトに取り組むお茶の専門家たちの実例や、多くのスペインの方々が抱いているであろうお茶に対する従来の概念に一石を投じるような、淹れ方や使い方への様々なアプローチについてもご紹介しました。 ワークショップでは、まず和束の上嶋爽禄園のほうじ茶をワイングラスに注いで温かい状態でお出しし、続いて長崎の池田茶園の玉緑茶を爽やかな水出しでお出ししました。最後には、日本茶の伝統的な風味を残しながらも、驚きとともに非日常を感じられる、ひと工夫加えたものをご提供したいと考えました。 この最後の一杯のために、事前に桜を炭酸水で水出ししておき、ワークショップの最中には宇治の吉田銘茶園の玉露を常温でじっくりと抽出しました。そして、この二つを混ぜ合わせて参加者の皆様にお出ししました。お茶には無限の可能性とアレンジ適性があるということをお伝えしたいという思いからです。皆様に楽しんでいただけていたら嬉しいです! 友や日本茶コミュニティのメンバー、そして新しく出会った方々とも、こうして交流できたことを嬉しく思います!

花見団子の色の意味、ご存知ですか?

花見といえば、春になるとよく目にする「花見団子」。 「花より団子」という言葉にもあるように、つい花より食べ物に心が向いてしまうのもお花見の楽しさのひとつ。 そんな気軽さも含めて、春の風物詩といえるでしょう。 何気なく食べているこの三色団子ですが、実はその色の並びにはちょっとした意味があるのをご存じでしょうか。 一般的な花見団子は、ピンク・白・緑の三色。 この配色は見た目のかわいらしさだけでなく、季節の移ろいを表しているといわれています。 ピンクは満開の桜、白は冬の名残である雪、そして緑は芽吹いたばかりの新緑。 それぞれが春へと向かう自然の変化を表現しているのです。 つまり、花見団子は「冬から春へ」という時間の流れを一串で楽しめる和菓子。 お花見の席で味わうことで、目に映る風景とお菓子の意味が重なり、より季節を感じられるのも魅力です。 今年のお花見では、ぜひ団子の色にも少し注目してみてください。 いつもの一串が、少し違って見えてくるかもしれません。 シンプルな味わいの花見団子、香り高い煎茶とのマリアージュが楽しめそうです。 ぜひお試しくださいね。

世界お茶まつり2025レポート

2025年10月24日、25日にチームメンバーのMachiとAnnaが静岡で開催された世界お茶祭りに参加してきました。 このイベントはお茶の魅力を国内外に発信すべく、2001年に国内初の茶の総合博覧会としてスタートしてから3年に一度開催しており約20の国と地域から茶業関係者が参加するお茶の祭典です。今年で9回目となりますが、2022年に行われた前回は、20の国と地域から過去最多の約74万人が来場したそうです。 今年も、二日間参加した印象としては、日本人以外の方をたくさん多く見かけました。英語での情報や案内が少ないにも関わらずです。そして例に漏れず、私たちのメンバーたちも世界中からこの祭りのために来日していました。間違いなく世界中のお茶好きが集まる国内最大のお茶祭りです。 4日間にわたるこのイベントでは、お茶に関する様々なブースやセミナー、シンポジウム、大会、様々な流派や国のお茶会が用意されています。 今日は参加した感想と共にその内容をシェアしますね。 まず、会場の外からその祭りは始まっています。お茶に関係するフードトラックや、お茶サウナを通り過ぎるとワールドOCHAマーケットというお茶の総合見本市があります。屋内外で128の様々なブースが出展しており、商談ブースも設けられています。『輸出対応可能』などと表記されているブースもあり、海外への展開に力を入れているかどうかわかりやすくなっていました。茶農家や販売者と会話をしながら試飲ができ、お茶好きならウキウキする光景間違いなしです。 個人的には美味しい煎茶をたくさん楽しめたのはもちろんのこと、桃の香りがする和紅茶や日本酒樽・ウイスキー樽で熟成されたお茶が面白かったです。 日本茶以外にも、台湾、中国、韓国、ベトナム茶、スリランカ茶などの販売も見られました。茶器やスイーツの販売もありましたよ。 同じフロアでは世界緑茶コンテストの入賞茶展示や日本茶AWARDの三次審査に一般消費者として参加できるブースがありました。ステージでは、ライブ配信をしながらの販売や、NIHONCHA  BREWERS CHAMPIONSHIPという日本茶インストラクターたちがお茶の淹れる技術を競うプログラムもありました。 3階では、静岡県内で作られた個性豊かな100銘茶を生産者自ら解説し振る舞う有料試飲ブースもありました。椅子に座り、生産者の方と話しながらゆっくりと数種類のお茶を3煎ずつほど楽しめました。同フロアでは、香りや味でお茶を当てる闘茶(茶かぶき)も無料で行われており、私たち国際日本茶協会コミュニティの日本人メンバーがその運営の1人でした。そしてもちろん、Annaをはじめ、他のメンバーたちも挑戦していましたよ。 なんと全問正解したメンバーもいました。同じ品種が複数あったりと日本人でもとても難しいものだったので、皆驚いていました。 6階ではスイーツコンテストで入賞した作品とお茶のティーペアリングや世界大茶会が行われていました。茶道、煎茶道、そして中国や韓国の茶会もありました。抹茶アートのブースでは、私たちの協会をサポートしてくれているIkukoが京都の和束から出展していました。たまたま同じセッションで抹茶アートを体験した日本人も話が盛り上がり、素敵な出会いもありました。 上記のような様々な催し物に加えて、25日・26日はセミナーやシンポジウムなども行われていました。ヴィンテージ茶に関する最新事情が学べるセミナーは日英で行われ、大変人気で満席でした。(Machiは予約できませんでした…) お茶とウェルネスをテーマにしたユニークなワークショップも開催され、様々な視点から日本茶の魅力を発信する人々たちが集結していました。 Machiは「呼吸で五感を開くお茶の体験ワークショップ」と「思考・感情・五感を整える日本茶マインドフルネス体験」に参加しました。 前者の方では呼吸の大切さ、五感を開く呼吸法を学びました。お茶を飲む時、呼吸を整えたことはありますか?緊張した状態で飲むお茶、リラックスして飲むお茶は同じお茶でも味わいが変わるということを改めて体感しました。 後者はさらにユニークで、お茶を通じた瞑想体験をしました。ナビゲーターは日本茶には嗜好品以上の価値があると信じ、「日本茶ウェルビーイング瞑想」というものを生み出しました。 日本茶のもつ潜在力や、どのような日本茶、どのような淹れ方が“瞑想茶“に向いており、この瞑想を取り入れることにどんな意味があるのか、を語ってくれました。そして棒茶を使って実際に彼女のガイダンスのもと瞑想を行いました。お茶を五感で味わいながら自分の内側に意識を向ける静かで有意義な時間でした。 他にも世界路上茶屋などたくさんの催し物が開催されており、1日では足りませんでした。次の3年後に参加したいと思った人はぜひ2日以上行くようにしてくださいね。 24日の夜は集まってくれたメンバーたちとディナーに行きました。 […]

マドリードでの煎茶道イベント

3月21日、スペイン・マドリードにて煎茶道のイベントが開催されました。私たちの友人である和菓子うたたねの中森詩子さんが、日本茶アドバイザーであり煎茶道の実践者でもある栗田順子さんをお招きし、まだあまり広く知られていない煎茶道を伝える美しいワークショップを2回行ってくださいました。 栗田先生は静岡のご出身で、長年にわたり日本茶アンバサダーとして活動されてきました。2000年からハンガリーに在住し、旅をすることを楽しんでいらっしゃいます。数年前、サンティアゴ巡礼の道を歩いた際、愛用の茶器を携え、道中で出会った人々に日本茶を淹れて振る舞いました。その経験がきっかけでスペインに恋をしたという栗田先生にとって、再びスペインの地に戻り煎茶道を紹介することは、とりわけ大きな喜びでした。 私たちの共同創設者であるアナも、解説と通訳のサポート役としてイベントに参加しました。お点前の補助は、鮮やかで美しいオレンジ色の着物を纏ったカナさんが務めました。 ワークショップでは、まず栗田先生が参加者に日本茶と煎茶道の歴史を紹介しました。続いて、これから披露するお点前(茶会におけるお茶を点てる手順)について説明し、あわせてお茶の受け取り方や茶器・お菓子の扱い方に関する作法も教えてくださいました。そしていよいよ、美しいお点前の実演へ。栗田先生の煎茶道の流派「東阿部」のために特別に作られた、八女産の上質な玉露が淹れられました。お点前を進めながら、栗田先生は優雅に、ご自身の茶器にまつわる物語を語ってくださいました。 数年前、日本への帰省中に、ご実家の棚の中でひとそろいの茶器を見つけたそうです。お母さまに尋ねたところ、それは亡きお祖父さまのものだったことがわかりました。ただ、ご家族の知る限り、お祖父さまは煎茶道を嗜んではいなかったとのこと。どなたかからの贈り物だったのかもしれません。 栗田先生はお母さまに、その茶器を譲り受けてヨーロッパに持ち帰ってもよいかと尋ねました。そしてそのときから、好奇心に導かれるようにして煎茶道について深く学び始め、本格的にその道を歩むことを決意されました。自分をこのお茶の道へと導き、さまざまな国の人々とお茶を分かち合うきっかけを与えてくれたお祖父さまとあの茶器に、深い感謝を感じていると語っておられました。 玉露には、詩子さんが立春の日を祝って特別に作った練り切りが添えられました。お点前が終わった後は、よりくつろいだ雰囲気の中で、参加者の皆さんが質問をしたり感想を語り合ったりする時間が設けられました。この時間には京都のほうじ茶と、詩子さんが選んでくださったお菓子(カステラ饅頭、桜の琥珀糖、きなこ棒)が振る舞われました。 スペインで煎茶道を楽しむという、なんとも贅沢な午後でした。詩子さん、栗田先生、素敵な時間をありがとうございました! 文:アナ 訳:茶谷悠太