国際日本茶協会7周年記念

1月末に、私たちは7周年を迎えました。これまで長年にわたり支えてくださったすべての会員および受講生の皆さまに、心より感謝申し上げます。 記念イベントは1月28日に開催され、できるだけ多くのタイムゾーンに対応できるよう、オンラインで2回実施しました。さまざまな国や大陸にいる会員の皆さんとつながることができ、本当に心温まるひとときとなりました。 まず、忙しくも非常に実り多い一年となった昨年を振り返りました。2025年には、Japanese Tea Master Course を6月と9月の2回開催し、世界各国から情熱あふれる24名の受講生を京都に迎えました。また、イタリア、スイス、デンマークで新たに3名のTea Catalystを迎え、ドイツ語およびデンマーク語による茶講座も開始しました。 日本では、Japanese Tea Evangelist Program に新たに30名の大学生を迎えることができました。彼らは私たちとともに日本茶を学んだ後、留学プログラムに参加し、渡航先の国々でその知識を共有しています。さらに、日本国内の新しいお茶プロジェクトに注目し、日本茶のグローバルな文脈を探るため、Japanese Tea Conference を2回開催しました。また、チェコ、オーストリア、ナイジェリアなど、世界各地の茶フェスティバルにも参加しました。 振り返りの後には、会員の皆さんが当協会に参加したきっかけや、最も印象に残っている経験について語ってくれました。特に、2週間にわたる没入型プログラムであるJapanese Tea Master Course は、多くの人にとって大きなハイライトでした。また、日本茶への革新的なアプローチを紹介するJapanese Tea […]

新年の茶会 with MellowSheng

Jenny Chih Chieh Teng さんは、私たちの長年の茶友であるだけでなく、自然な食品づくりのプロセス、東洋の茶文化、中国書道に重点を置いた美食と文化のプラットフォーム「Mellow Sheng」の創設者でもあります。彼女は台湾茶の専門家であり、今回もまた、美しい茶会に私たちを招いてくださいました。 1月18日、アンナは今年最初の茶会にJennyさんとともに参加しました。6名という親密な集まりの中で、アンナが最初に日本の煎茶を淹れ、その後ジェニーが台湾の紅茶を淹れました。それぞれの茶はとても個性的で、国や製法は異なりながらも、どこか共通点を感じさせるものでした。 アンナが選んだのは、やや珍しい煎茶でした。梅ヶ島の在来種の茶樹から作られたもので、紫色の新芽が出ること、有機栽培であること、そしてミネラル豊富な山の土壌に根ざしていることが特徴です。このお茶と梅ヶ島は、かつてGJTeaフェローであり茶ツーリズムの教授でもある Lee Joliffeさんを通じて出会った知人、さいとうまさこさんによって広められています。地元では近年、北タイの人々の製法にならい、茶葉を発酵させて食品として活用する新たなプロジェクトも進められています。こうした背景から、このお茶はJennyさんの茶と食へのアプローチにとても合うと考えました。 アンナは常滑の土の急須を使い、日本の「回し注ぎ」のスタイルで最初の一煎を振る舞いました。お茶は非常にやさしく、ミネラル感のある味わいでした。ガラスのピッチャーに注がれた二煎目の色合いには、皆が驚きました。緑は濃く、それでいて軽やかで澄みきり、金色のきらめきを帯びていました。それはまるで、梅ヶ島の土壌や温泉に宿る“梅ヶ島の黄金”を思わせるようでした。 一方Jennyさんが選んだのは、日月潭の野生種から作られた紅茶で、こちらも在来種で紫芽を持つものでした。彼女は赤土の茶壺を使い、工夫茶のスタイルで淹れました。その香りは驚くほど豊かで、まるで濃厚なダークチョコレートのようでした。味わいは温かく心を包み込むようでありながら、同時に繊細さも感じさせました。 この日のためにJennyさんが用意したお菓子にも、深い思いが込められていました。どちらも、種から芽吹き、高山で紫に色づく茶の姿を表現したものです。最初のデザートは、伝統的な湯圓をアレンジしたもので、白と紫の白玉団子をプーアル茶のシロップに浮かべたものでした。二つ目は山の形をした軽やかな羊羹で、緑豆、ブルーベリー、そしてゼニアオイの抽出液から作られていました。料理の繊細さと清らかさが、両方のお茶の透明感をいっそう引き立てていました。 このような場、このような仲間とともにお茶を淹れられたことは、なんてありがたいことでしょう。 ありがとう、Jenny!

Japanese Tea: A Comprehensive Guide(日本茶:総合ガイド)第2版

私たちの代表である鈴木シモナが、2025年10月に著書『Japanese Tea: A Comprehensive Guide』の第2版を刊行しましたので、お知らせいたします。 2017年11月に出版された第1版は、日本茶の理解に完全に特化した初めての英語の書籍でした。あれから8年、ついに全面改訂・大幅増補された第2版が登場です! 全ての章が丁寧に見直され、ページ数も97ページから175ページへとほぼ倍増しました。シモナ自身の日本茶に関する経験に加え、茶業界や関連分野の専門家からの知見をもとに、日本茶についてさらに深く掘り下げています。茶の栽培や製造工程、様々な日本茶の種類や淹れ方、産地、歴史、文化など、多岐にわたる内容が網羅されています。 第1版に収録されていた豊富な情報に加え、第2版では茶品種の説明や、緑茶以外の日本茶の製造についての新たな内容が追加されました。また、日本の主要な茶産地についても、より深い考察が盛り込まれています。さらに、あまり知られていない日本茶の種類やその香りの特徴を紹介し、ティーペアリングや料理への応用など、「飲む」以外の日本茶の楽しみ方も提案しています。 全体として、この新版は、茶の専門家にも愛好家にも役立つ総合的で奥行きのあるガイドとなっています。日本茶を学び始めたばかりの方にも、既に知識を持つ方にも、日本茶の世界を「畑から湯呑みまで」より深く理解していただけるよう作られています。 『Japanese Tea: A Comprehensive Guide』第2版は、世界各国のAmazonで購入できます。

秋の夜長に、月を愛でる──「お月見」の楽しみ方

日本には、秋の澄んだ夜空に浮かぶ満月を愛でる「お月見」という風習があります。特に「中秋の名月」と呼ばれる満月は、美しい月を眺めながら、自然の恵みに感謝を捧げる特別な夜とされてきました。 旧暦の8月15日にあたる「十五夜」がその代表で、2025年は10月6日が十五夜にあたります。現代では新暦に合わせて、9月中旬から10月初旬のどこかでお月見を行うのが一般的です。 月に感謝し、秋の実りを喜ぶ お月見には、いくつかの意味があります。 まず、月そのものへの感謝。昔の人々にとって、月明かりは日常生活に欠かせないものであり、時間や天気の目安でもありました。月を敬い、自然の摂理に感謝する心がこの風習の原点です。 次に、豊かな収穫への感謝と、来年の実りへの祈り。稲をはじめとする作物の収穫期にあたるこの時期は、収穫祭としての意味合いも色濃く残っています。 そして最後に、純粋に月の美しさを楽しむということ。古来より、日本人は月の光に心を寄せ、多くの和歌や物語にその情景を詠み込んできました。 中国から伝わり、平安貴族の「月見の宴」へ お月見の起源は、中国・唐の時代にさかのぼります。日本には平安時代に伝わり、貴族たちの間で月を愛でる「月見の宴」が盛んに行われました。 音楽を奏で、和歌を詠み、酒を酌み交わす──その優雅な風習は『源氏物語』などの古典文学にも描かれています。 時代が下るにつれ、月見の風習は庶民にも広がり、江戸時代には舟の上から月を眺める「船遊び月見」なども楽しまれるようになりました。風流と自然を愛する日本人らしい文化が、今なお各地に息づいています。 京都では、寺院での月見茶会も 京都では現在も、お月見の伝統を大切に守っています。秋になると、寺院などで「観月会」や「月見茶会」が開かれ、月とともにお茶や雅楽を楽しむことができます。静かな庭園とともに、月を眺めながらお抹茶をいただく時間は、まさに日本文化の粋といえるでしょう。 月見団子と「芋名月」 お月見といえば、やはり欠かせないのが「月見団子」です。丸くて白い団子を三方に盛り、ススキを添えて月に供える光景は、秋の風物詩のひとつですね。 実はこの団子にも地域差があります。東日本ではシンプルな丸い団子が主流ですが、関西では小芋の形をした団子にあんこを包んだものも見られます。これはかつて、団子ではなく里芋を供える風習があったことに由来し、「芋名月(いもめいげつ)」という別名にもつながっています。 月のうさぎとススキの意味 お月見にまつわるもう一つの可愛らしい要素が、「月のうさぎ」です。日本では、満月の模様がうさぎが餅をついている姿に見えるとされ、月見団子やススキと一緒に飾られることが多いですね。 ススキは、収穫前の稲穂の代わりに供えられるもので、豊作や子孫繁栄を祈る意味も込められています。神様の依り代としての役割もある、自然への敬意を表す大切な存在です。 自宅でも楽しめる「お月見」のすすめ 今年の十五夜には、ぜひ自宅でもお月見を楽しんでみてはいかがでしょうか。 お気に入りのお茶を淹れ、手作りの月見団子を並べて、静かな夜にゆっくりと月を眺める。それだけで、いつもの日常が少しだけ贅沢な時間に変わるはずです。 […]

日本茶カンファレンス in Kyoto 2025

2025年で3回目となる日本茶カンファレンスが7月26日に京都で開催されました。今年のプログラムは従来以上に充実し、日本における革新的なお茶のプロジェクトの紹介、世界の日本茶事情の概観、そしてプレゼンターと参加者の繋がりを深めるティーパーティという3つのパートで構成されました。 イベントは歓迎の挨拶で幕を開け、3人の日本茶イノベーターがプレゼンテーションを行いました。 辻せりか氏(AOBEAT)は、美しい茶席でお茶を楽しんでもらうための、屋外茶室「茶の間」づくりに取り組んでいることを紹介しました。静岡大学准教授の一家崇志氏は、新しいお茶の品種を開発するのに必要な時間を大幅に短縮することができる、お茶のDNAの研究について紹介しました。 最後に、宮崎県の茶農家で緑碧茶園の社長である興梠洋一氏が、北海道でのお茶栽培によって、その北限を押し広げるという先駆的な取り組みについて語りました。 これらの感動的な講演に続き、参加者が厳選された日本茶を楽しみながら、プレゼンターと直接会話する機会 を得られるティーパーティが開催されました。プレゼンターブースに加え、日本茶エバンジェリストプログラムに参加する日本の大学生が3つのブースを運営し、ゲストとの交流を行いました。 お茶会でリフレッシュした後には焦点が国際的なステージに移り、北米、ヨーロッパ、中東で活動する3人のティーカタリストによるプレゼンテーションが行われました。Ikigai-shuのViktoryia Toma氏は、UAEでの日本茶の普及活動と、そこで観測された関心の高まりについて共有しました。 Teakan社のJanice Chan氏はオンラインでカンファレンスに参加し、カナダでの抹茶とほうじ茶のトレンドの急上昇を強調しました。ベルギーのティーサークルからはオンラインでCinzia Merlin氏も参加し、現地での日本茶教育プログラムがいかに関心を高めているか説明しました。 イベントは、日本エバンジェリストプログラムに参加する大学生による発表で続きました。2024年度派遣生の3名が、イタリア、フランス、中国での留学プログラム中の日本茶活動について報告しました。その後、2025年度生の11名が、今秋訪問する予定の地を紹介しました。特に注目すべきは、過去のエバンジェリストの活動が、学生主導の日本茶サークル「Socie-tea」の設立につながったことで、カンファレンス参加者は過去1年間の彼らの活動について知ることができました。 このイベントは、日本茶を軸に、アイデアや物語、新たな繋がりが活発に交わされる場となりました。皆様の熱意に深く感謝し、来年の日本茶カンファレンスでまた皆様をお迎えできることを楽しみにしています。

こどもの日に柏餅を食べる意味をご存知ですか?

一枚の葉っぱに込められた願いと、お茶との美味しい関係 5月のはじめ、和菓子屋さんに並ぶ大きな葉っぱに包まれた可愛らしいお餅、 「柏餅(かしわもち)」をご存知ですよね。 でも、なぜこの時期だけ食べるのか、柏の葉にはどんな意味があるのか、 意外と知らない方も多いのではないでしょうか? 柏餅は、5月5日の「こどもの日」に欠かせない伝統菓子です。 中にはこしあんやつぶあんなどの甘い餡が入り、もちもちとした食感が魅力。 実はこのお餅、ただの季節限定スイーツではなく、日本ならではの「家族への願い」が込められたお菓子なんです。 柏の葉は“食べられない”けど、大事な意味がある 柏餅の特徴である「柏の葉」は、食べられるものではありませんが、象徴として大切な役割を果たしています。 柏の木は、新しい葉が出るまで古い葉が落ちないことから、 「家系が絶えない」「子孫繁栄」という意味合いが込められています。 そのため、柏餅を食べることは、子どもたちの健やかな成長と、家族の繁栄を願う行為なのです。 柏餅と一緒に、お茶でほっとひと息 柏餅のお供には、やっぱり日本茶がぴったり。 特におすすめは、ほんのり渋みのある煎茶や番茶。 お餅の甘さとお茶の爽やかさが絶妙なバランスです。 今回合わせたのは、大分県産の「釜炒り茶」。 番茶の一種で、軽やかな渋みが特徴の、日常使いしやすいお茶です。 もちろん、抹茶とも相性抜群!ぜひお好みの組み合わせを見つけてみてください。 こどもの日ってどんな日? 5月5日は「こどもの日」として知られていますが、もともとは「端午の節句」という、 […]

桜餅には2種類あるのをご存知ですか?

春の和菓子といえば、桜餅。 甘いあんこと塩漬けされた桜の葉がいい塩梅で美味しいですよね。 桜餅というと、少し楕円型で、丸いピンクのぶつぶつした表面の餅に、桜の葉が巻かれているものをイメージしますが、 どうでしょうか。 もう一つ違う形の「桜餅」を見たことはありますか? 実は桜餅には2種類の形があるそうです。 まず、西日本(大阪・京都など)で一般的なのが「道明寺(どうみょうじ)桜餅」。 蒸して乾燥させたもち米を粗くひいた“道明寺粉”を使い、粒感の残るもちもち食感が特徴。ほんのり丸く平たい形に成形され、中には甘いあんこが詰まっていますね。 私は桜餅といえばこれですが、皆さんはどうでしょうか? 「道明寺」という名前は、大阪にある道明寺というお寺に由来しています。 もともとは保存食や武士の携帯食として使われていた道明寺粉が、 やがて和菓子にも使われるようになったそうです。 一方、東日本(特に東京)で親しまれているのが「長命寺(ちょうめいじ)風」の桜餅。 こちらは小麦粉で作ったクレープのような薄い生地であんこを巻いた、しっとりやわらかなタイプ。見た目も食感もまったく異なります。 長命寺風の桜餅は、東京スカイツリーの近く、長命寺というお寺のそばにあった「山本や」というお店が発祥とされています。桜餅自体は、江戸時代、門番をしていた男性が長命寺境内に落ちた桜の葉を塩漬けにして餅を包んでみたことから誕生したそう。 どちらの桜餅にも共通しているのが、あの塩漬けの桜の葉。甘さと塩気のバランスが絶妙で、桜餅のおいしさを引き立ててくれます。 でも気になるのが、「葉っぱ、食べる?食べない?」問題。香りや食感が好きで食べる人もいれば、風味だけ楽しんで葉ははがす人も。 どちらが正解ということはなく、自分の好みで楽しめばOK! 道明寺桜餅は全国的に見かけますが、長命寺風は限られた場所でしか出会えません。 もし見つけたら、ぜひ試してみてください。(写真のものは、珍しく京都「鼓月(こげつ)」で見つけたものです。) 香り豊かな煎茶や釜炒り茶と一緒に味わうのも、春ならではの素敵な楽しみ方です🌸😊