Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –土屋裕子

3月29日、私たちは春の新茶シーズン前最後となる「Meet the Tea Farmer(茶農家に会う)」イベントを開催しました。今回のゲストは土屋祐子さんです!彼女は静岡県にある小さな家族経営の茶農園「つちや農園」の3代目茶農家であり、現在は農園を率いています。農園があるのは川根本町という町で、標高約600mの山間地域です。この茶農園のもう一つの特徴は、現在でも小型の機械を使ってお茶を加工していることです。そうすることで、顧客の好みに合わせて異なるロットのお茶を加工することができます。また、つちや農園では手摘みのお茶も生産しています。

 

私たちが最初に試飲したお茶は「ひかり小町」という手摘みの煎茶でした。これは「おくひかり」という品種で作られており、やぶきたより少し芽吹きが遅い品種として知られています。このお茶は昨年の5月15日頃に収穫されたものです。裕子さんによると、通常1人分として茶葉3gを小さな急須で淹れるそうです。もし急須がなければ、カップで直接淹れても良いとのことでした。お湯は50℃程度まで冷ますことをすすめていました。まず沸騰したお湯をカップに注ぎ、量を測ります。そして湯気を観察します。湯気が真上にまっすぐ上がっている場合はまだ温度が高く、湯気が横に流れ始めたら約80℃くらいだそうです。その後、「湯冷まし」にお湯を移してさらに冷まします。最後に急須にお湯を注ぎ、約2分ほど抽出します。祐子さんは水と抽出時間について興味深いことを話していました。日本の水は軟水でとても良いので、1分半ほどでも十分に抽出できるそうです。しかし硬水の場合は、もう少し長く抽出したほうが良いと考えているそうです。また、もし渋みが強く感じる場合は、室温の水で長時間抽出する方法もすすめていました。そうするとより軽やかな味になるそうです。彼女は参加者にこのお茶の感想を聞くことにも興味を持っていました。彼女は、このお茶こそ静岡の山間地で作ることができるお茶だと説明しました。抽出液は淡くレモンのような黄色で、とても薄い色ですが、味わいはとても豊かです。このお茶は何度も淹れて楽しむことができます。

裕子さんの煎茶:ひかり小町

参加者たちはこのお茶をとても楽しみ、いくつか興味深い質問や議論が生まれました。その一つは、お湯の量についてです。裕子さんはは飲みたいお茶の濃さに応じて量を計算する方法を教えてくれました。とても濃厚で風味の強いお茶を楽しみたいときは、茶葉の重さの約10倍の水量(3gなら30ml)を使います。普通の濃さを楽しみたいときは約20倍(60ml)の水量、そしてとても軽いお茶がよければ60倍だそうです!

別の質問は「急須がない場合はどうするか」でした。裕子さんのおすすめは、カップを2つ使う、日本語で「すすり茶」と呼ばれる方法です。これは中国で蓋碗から直接飲むスタイルに似ています。もし茶葉が口に入るのが気になる場合は、1つのカップで抽出し、もう1つのカップに注いで飲めばよいとのことでした。

 

この煎茶の2煎目では、湯冷ましにお湯を入れ、その後カップへ直接注ぎます。温度は約70℃、抽出時間は20秒です。すると色はより濃くなりました。裕子さんは、この段階で茶葉を観察するようにも言いました。抽出後の茶葉の色はとても美しく、春の収穫前に畑で見られる茶葉の色とほとんど同じだそうです。この抽出は、より典型的な煎茶の味になります。旨味はやや少なくなり、少し渋みが出ます。参加者の一人、パトリックさんは
同じお茶でも異なる淹れ方でさまざまな味を楽しめるのが好きだと話していました。私たちもそれをとても楽しみました!

お茶は一緒に飲むともっと美味しいですよね!

その後、静岡のお茶産地とつちや農園についての紹介がありました。現在、裕子さんが農園のリーダーですが、収穫期にはご主人も手伝います。また、83歳になるお父様も、今でも茶工場で定期的に働いているそうです。裕子さんは、手摘みの伝統を守ることにも非常に力を入れています。手で茶葉を摘むと、どの葉を摘むかを正確に選ぶことができるため、春にはとても高品質なお茶を作ることができると言います。さらに、茶摘みをする人たちはベテランで経験豊富です。そのため、スピードが速いだけでなく、同時にとても丁寧で正確に作業ができます。裕子さんは、この技術は守る価値があると考えています。また、収穫期になると茶摘みの女性たちが町に集まり、とても美しく楽しい光景になるそうです。しかし残念ながら、多くの茶摘みの人たちはすでに80歳前後であり、若い世代はこの伝統を引き継いでいません。しかし彼女は手揉み茶の保存会のような仕組みが解決策になるのではないかと裕子さんは考えています。手摘みでも同じような取り組みができるかもしれません。

雪に覆われたつちや農園の茶畑。なんと美しい景色でしょう!

この日の2種類目のお茶はほうじ茶でした。裕子さんは80〜90℃のお湯を使うことをすすめました。「ほうじ茶はとても簡単に淹れられるお茶です」と彼女は言いました。量は1人分で茶葉3g、カップ1杯の水を使い、抽出時間は約40秒です。彼女は次のように説明しました。「より熱いお湯で淹れると、香りをより感じることができます。この香りは世界中の人に同じような感覚を与えるのかもしれません。」

裕子さんがセットしてくださったほうじ茶

このほうじ茶はとても美味しく、参加者の中には「とてもクリーミーだ」と感じた人もいました。このお茶の大きな特徴は、焙煎の強さと使用している茶葉です。このほうじ茶は比較的軽めの焙煎で、使用している茶葉は春の遅い時期に収穫した煎茶の葉です。つちや農園では、煎茶の特徴を残すために軽めに焙煎しているそうです。

 

また、ほうじ茶のカフェイン量についての質問もありました。裕子さんは、カフェイン量は焙煎よりも、どの原料の茶葉を使うかによって決まると説明しました。このほうじ茶のカフェイン量は、最初に飲んだ煎茶より少ないそうです。ほうじ茶はカフェインが少ないため夜の飲み物として勧められることが多いですが、祐子さんは、お茶には利尿作用があるため、あまり遅い時間に飲むのは良くないかもしれないとも言っていました。

 

最後には、日本の茶業界に若い人が少ない問題や、海外の人々が関わることで変化の可能性があるかについても話しました。裕子さんは、日本茶が海外で人気になることはもちろん良いことだと話しました。しかし、小さな茶農家にとっては少し難しい面もあると言います。慣れていなかったり、対応する力が十分でなかったりする場合があるからです。昔の日本では、飲み物といえばお茶しかありませんでした。しかし今では、若い人たちには多くの選択肢があります。そのため、数ある選択肢の中から「お茶を選ぶ」という行為が必要になっているのです。

 

裕子さん、たくさんの洞察と興味深いお話を本当にありがとうございました。そしてもちろん、素晴らしいお茶もありがとうございました。情熱とインスピレーションにあふれる茶農家が作る、これほど高品質なお茶を味わえることを、私たちはいつもとても幸運に感じています。

裕子さん、ありがとうございました!