プラハティーフェスティバル 2026

改めて、プラハの冬は、温かくお茶に満ちた雰囲気で私たちを魅了してくれました。世界中のさまざまな場所からお茶好きがこの街に集まり、中にはカナダや日本からはるばる飛行機で訪れた人もいました!また、約25名のGJTeaのTea Fellowメンバーも参加していました。 楽しい週末のあいだ、たくさんのお茶仲間と再会し…そして新しい友人もできました! 週末は、すべての素晴らしいお茶の物語がそうであるように、まずは茶房から始まりました。金曜日、最初に訪れたのはLao Teahouse。ここでは、吉田茶園のヒロキさんとミサコさんが、自分たちの茶園についてのワークショップを開催しました。私たちはIkedokiのMarjoleinさんとともにサポートに入りましたが、「サポート」という言葉では言い表せないほど、吉田茶園の素晴らしいお茶の数々を味わう喜びを体験しました。和紅茶や烏龍茶に力を入れていることで知られる彼らは、より一般的な日本茶に慣れている参加者たちを大いに驚かせました。 土曜日にはフェスティバルが始まり、盛り上がりは最高潮に達しました。会場には絶え間なく人が行き交い、各ブースに集まっては、できる限り多くのお茶を味わおうとしていました。数多くの興味深いお茶や出店者、素晴らしい陶芸作家の中でも、特に日本の出展者には触れておきたいところです。茨城県の吉田茶園と長崎県のIkedokiが並んで出展し、煎茶・ほうじ茶・玉緑茶といった伝統的なお茶から、和紅茶や烏龍茶、さらには玉緑茶や和紅茶のパウダーといったユニークで実験的なお茶まで、幅広く紹介していました。 同じ会場では、メンバーのKyle Whittingtonさんが、仕覆(茶筒用の絹の袋)や茶道具用の特注布袋、さらに美しい小物用ポーチなど、見事な作品を展示していました。北海道出身のちばまりこさんは印象的な青と白の茶器を披露。ドイツのケイコさんは抹茶や抹茶チョコレートを紹介していました。日本のFujini Teaは1日限定で出店し、静岡の丸福製茶のお茶を持参。さらにRishe TeaのAreekさんは、岐阜・滋賀・鹿児島など日本各地の有機栽培のお茶を見事なセレクションで提供していました。 ワークショップやトークの中では、プラハの裏千家が茶箱を使った冬の野点の実演を行いました。Rishe TeaのAreekさんによる玉露のマスタークラスや、ケイコさんによる煎茶と抹茶の違いと共通点についての講義もありました。またZaparzajのMartyna Graczykさんは希少な日本茶のテイスティングを主導しました。 私たちの団体も、この週末に2つのイベントを開催しました。土曜日の午後には、フェスティバルで闘茶(ちゃかぶき)を実施しました。20名が参加し、まず闘茶の歴史や現代での楽しみ方、ルールの説明が行われ、その後ブラインドテイスティングへ。京都府のうてな茶屋の煎茶、宮崎県の宮崎茶房の釜炒り茶、長崎県の茶友の玉緑茶の3種が出されました。Tea FellowおよびCatalystメンバーのMichaela、Zita、Susan、Andy、Steenが見事に淹れを担当し、Sofieが素晴らしい写真を撮影しました。参加者にはGJTeaメンバーだけでなく新しい顔ぶれも多く、Tea FellowのIrinaはなんと両ラウンドとも正解しました!お見事です。 日曜日の夜には、素敵な茶房Meeteaに招かれ、政所の茶に焦点を当てた集まりを開催しました。昨年10月にマツとアンナが政所を訪れ、茶農家の山形蓮さんに会ったことがきっかけです。この非常に伝統的な茶産地の魅力を共有したいという思いから、プラハでの開催となりました。12名のお茶仲間が参加し、政所茶の特徴や、その伝統を守り続ける難しさについて語り合いました。山形蓮さんの手がけた平番茶、煎茶、玉露を試飲し、その味わいが他の日本茶とは異なることに皆が驚きました。温かくリラックスした、素敵なひとときでした。 そして月曜日、名残惜しい気持ちの中で出発の時間がやってきました。朝食を兼ねた最後のカジュアルな集まりと、最後の茶館「Tea Mountain!」を訪れた後、皆とハグを交わし、空港へ向かいました。 この温かなティーコミュニティの余韻は今もなお心に残っており、次にまた集まれる機会をすでに楽しみにしています。プラハで出会ったすべての人に感謝を。そして、この素晴らしいティーフェスティバルを再び開催してくれたAghaさん、本当にありがとうございました! ※フィーチャー画像およびその他の写真:Tea FellowメンバーでありフォトグラファーのSofie […]

新年の茶会 with MellowSheng

Jenny Chih Chieh Teng さんは、私たちの長年の茶友であるだけでなく、自然な食品づくりのプロセス、東洋の茶文化、中国書道に重点を置いた美食と文化のプラットフォーム「Mellow Sheng」の創設者でもあります。彼女は台湾茶の専門家であり、今回もまた、美しい茶会に私たちを招いてくださいました。 1月18日、アンナは今年最初の茶会にJennyさんとともに参加しました。6名という親密な集まりの中で、アンナが最初に日本の煎茶を淹れ、その後ジェニーが台湾の紅茶を淹れました。それぞれの茶はとても個性的で、国や製法は異なりながらも、どこか共通点を感じさせるものでした。 アンナが選んだのは、やや珍しい煎茶でした。梅ヶ島の在来種の茶樹から作られたもので、紫色の新芽が出ること、有機栽培であること、そしてミネラル豊富な山の土壌に根ざしていることが特徴です。このお茶と梅ヶ島は、かつてGJTeaフェローであり茶ツーリズムの教授でもある Lee Joliffeさんを通じて出会った知人、さいとうまさこさんによって広められています。地元では近年、北タイの人々の製法にならい、茶葉を発酵させて食品として活用する新たなプロジェクトも進められています。こうした背景から、このお茶はJennyさんの茶と食へのアプローチにとても合うと考えました。 アンナは常滑の土の急須を使い、日本の「回し注ぎ」のスタイルで最初の一煎を振る舞いました。お茶は非常にやさしく、ミネラル感のある味わいでした。ガラスのピッチャーに注がれた二煎目の色合いには、皆が驚きました。緑は濃く、それでいて軽やかで澄みきり、金色のきらめきを帯びていました。それはまるで、梅ヶ島の土壌や温泉に宿る“梅ヶ島の黄金”を思わせるようでした。 一方Jennyさんが選んだのは、日月潭の野生種から作られた紅茶で、こちらも在来種で紫芽を持つものでした。彼女は赤土の茶壺を使い、工夫茶のスタイルで淹れました。その香りは驚くほど豊かで、まるで濃厚なダークチョコレートのようでした。味わいは温かく心を包み込むようでありながら、同時に繊細さも感じさせました。 この日のためにJennyさんが用意したお菓子にも、深い思いが込められていました。どちらも、種から芽吹き、高山で紫に色づく茶の姿を表現したものです。最初のデザートは、伝統的な湯圓をアレンジしたもので、白と紫の白玉団子をプーアル茶のシロップに浮かべたものでした。二つ目は山の形をした軽やかな羊羹で、緑豆、ブルーベリー、そしてゼニアオイの抽出液から作られていました。料理の繊細さと清らかさが、両方のお茶の透明感をいっそう引き立てていました。 このような場、このような仲間とともにお茶を淹れられたことは、なんてありがたいことでしょう。 ありがとう、Jenny!

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –土屋裕子さん

3月29日、私たちは「Meet the Tea Farmer(茶農家に会う)」イベントの最終回を迎えました。今回のゲストは土屋祐子さんです!彼女は静岡県にある小さな家族経営の茶農園「つちや農園」の3代目茶農家であり、現在は農園を率いています。農園があるのは川根本町という町で、標高約600mの山間地域です。この茶農園のもう一つの特徴は、現在でも小型の機械を使ってお茶を加工していることです。そうすることで、顧客の好みに合わせて異なるロットのお茶を加工することができます。また、つちや農園では手摘みのお茶も生産しています。   私たちが最初に試飲したお茶は「ひかり小町」という手摘みの煎茶でした。これは「おくひかり」という品種で作られており、やぶきたより少し芽吹きが遅い品種として知られています。このお茶は昨年の5月15日頃に収穫されたものです。裕子さんによると、通常1人分として茶葉3gを小さな急須で淹れるそうです。もし急須がなければ、カップで直接淹れても良いとのことでした。お湯は50℃程度まで冷ますことをすすめていました。まず沸騰したお湯をカップに注ぎ、量を測ります。そして湯気を観察します。湯気が真上にまっすぐ上がっている場合はまだ温度が高く、湯気が横に流れ始めたら約80℃くらいだそうです。その後、「湯冷まし」にお湯を移してさらに冷まします。最後に急須にお湯を注ぎ、約2分ほど抽出します。祐子さんは水と抽出時間について興味深いことを話していました。日本の水は軟水でとても良いので、1分半ほどでも十分に抽出できるそうです。しかし硬水の場合は、もう少し長く抽出したほうが良いと考えているそうです。また、もし渋みが強く感じる場合は、室温の水で長時間抽出する方法もすすめていました。そうするとより軽やかな味になるそうです。彼女は参加者にこのお茶の感想を聞くことにも興味を持っていました。彼女は、このお茶こそ静岡の山間地で作ることができるお茶だと説明しました。抽出液は淡くレモンのような黄色で、とても薄い色ですが、味わいはとても豊かです。このお茶は何度も淹れて楽しむことができます。 参加者たちはこのお茶をとても楽しみ、いくつか興味深い質問や議論が生まれました。その一つは、お湯の量についてです。裕子さんはは飲みたいお茶の濃さに応じて量を計算する方法を教えてくれました。とても濃厚で風味の強いお茶を楽しみたいときは、茶葉の重さの約10倍の水量(3gなら30ml)を使います。普通の濃さを楽しみたいときは約20倍(60ml)の水量、そしてとても軽いお茶がよければ60倍だそうです!   別の質問は「急須がない場合はどうするか」でした。裕子さんのおすすめは、カップを2つ使う、日本語で「すすり茶」と呼ばれる方法です。これは中国で蓋碗から直接飲むスタイルに似ています。もし茶葉が口に入るのが気になる場合は、1つのカップで抽出し、もう1つのカップに注いで飲めばよいとのことでした。   この煎茶の2煎目では、湯冷ましにお湯を入れ、その後カップへ直接注ぎます。温度は約70℃、抽出時間は20秒です。すると色はより濃くなりました。裕子さんは、この段階で茶葉を観察するようにも言いました。抽出後の茶葉の色はとても美しく、春の収穫前に畑で見られる茶葉の色とほとんど同じだそうです。この抽出は、より典型的な煎茶の味になります。旨味はやや少なくなり、少し渋みが出ます。参加者の一人、パトリックさんは 同じお茶でも異なる淹れ方でさまざまな味を楽しめるのが好きだと話していました。私たちもそれをとても楽しみました! その後、静岡のお茶産地とつちや農園についての紹介がありました。現在、裕子さんが農園のリーダーですが、収穫期にはご主人も手伝います。また、83歳になるお父様も、今でも茶工場で定期的に働いているそうです。裕子さんは、手摘みの伝統を守ることにも非常に力を入れています。手で茶葉を摘むと、どの葉を摘むかを正確に選ぶことができるため、春にはとても高品質なお茶を作ることができると言います。さらに、茶摘みをする人たちはベテランで経験豊富です。そのため、スピードが速いだけでなく、同時にとても丁寧で正確に作業ができます。裕子さんは、この技術は守る価値があると考えています。また、収穫期になると茶摘みの女性たちが町に集まり、とても美しく楽しい光景になるそうです。しかし残念ながら、多くの茶摘みの人たちはすでに80歳前後であり、若い世代はこの伝統を引き継いでいません。しかし彼女は手揉み茶の保存会のような仕組みが解決策になるのではないかと裕子さんは考えています。手摘みでも同じような取り組みができるかもしれません。 この日の2種類目のお茶はほうじ茶でした。裕子さんは80〜90℃のお湯を使うことをすすめました。「ほうじ茶はとても簡単に淹れられるお茶です」と彼女は言いました。量は1人分で茶葉3g、カップ1杯の水を使い、抽出時間は約40秒です。彼女は次のように説明しました。「より熱いお湯で淹れると、香りをより感じることができます。この香りは世界中の人に同じような感覚を与えるのかもしれません。」 このほうじ茶はとても美味しく、参加者の中には「とてもクリーミーだ」と感じた人もいました。このお茶の大きな特徴は、焙煎の強さと使用している茶葉です。このほうじ茶は比較的軽めの焙煎で、使用している茶葉は春の遅い時期に収穫した煎茶の葉です。つちや農園では、煎茶の特徴を残すために軽めに焙煎しているそうです。   また、ほうじ茶のカフェイン量についての質問もありました。裕子さんは、カフェイン量は焙煎よりも、どの原料の茶葉を使うかによって決まると説明しました。このほうじ茶のカフェイン量は、最初に飲んだ煎茶より少ないそうです。ほうじ茶はカフェインが少ないため夜の飲み物として勧められることが多いですが、祐子さんは、お茶には利尿作用があるため、あまり遅い時間に飲むのは良くないかもしれないとも言っていました。   最後には、日本の茶業界に若い人が少ない問題や、海外の人々が関わることで変化の可能性があるかについても話しました。裕子さんは、日本茶が海外で人気になることはもちろん良いことだと話しました。しかし、小さな茶農家にとっては少し難しい面もあると言います。慣れていなかったり、対応する力が十分でなかったりする場合があるからです。昔の日本では、飲み物といえばお茶しかありませんでした。しかし今では、若い人たちには多くの選択肢があります。そのため、数ある選択肢の中から「お茶を選ぶ」という行為が必要になっているのです。   裕子さん、たくさんの洞察と興味深いお話を本当にありがとうございました。そしてもちろん、素晴らしいお茶もありがとうございました。情熱とインスピレーションにあふれる茶農家が作る、これほど高品質なお茶を味わえることを、私たちはいつもとても幸運に感じています。 今回で「Meet […]

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –山本守日瑚さん

2月22日、再び「Meet The Tea Farmer」イベントが開催されました。今回は、静岡県牧之原市の「牧之原山本園」5代目茶農家、山本守日瑚さんの登場です。山本さんは勝間田開拓茶農協にも所属しています。山本家についての興味深い点として、この地域で最初に茶栽培を始めた家系のひとつであることが挙げられます。1869年、多くの元武士たちが静岡に移り住み、未開拓地を農地として開拓しました。山本さんはその武士の系譜の子孫にあたります。 現在、山本さんは烏龍茶や和紅茶など、香り高いお茶を専門としています。さらに、非常に芳香豊かな新しい緑茶「かおり緑茶」も生産し始めました。そして、この日最初に試飲したのがそのお茶でした。 山本さんが「花ここち」と名付けたこのかおり緑茶は、一般的な日本の緑茶とは少し異なります。旨味よりも香りを重視しているため、熱湯で淹れることができます。おすすめの淹れ方は、茶葉3gに対して200mlの熱湯を注ぎ、45秒間抽出する方法です。これは通常の日本茶の淹れ方とはかなり異なります。それでも、しっかりした抽出条件にもかかわらず、お茶はとても甘くて美味しく仕上がりました。参加者全員が「とても素敵なお茶だ」と感じました。香りは非常にフローラルで、ジャスミンのようだと表現されることもあるそうです。二煎目も同じ温度で、抽出時間を短くすれば、まだ十分に香りを楽しめました。このお茶に対するお客様の反応について尋ねられると、山本さんは「普段あまりお茶を飲まない人ほど好む傾向がある」と話しました。味が穏やかで、香りが心地よく、淹れやすいからです。では、なぜまったく苦味がないのでしょうか? 山本さんは、収穫後すぐに加工するのではなく、このお茶では16時間の萎凋工程を行うと説明しました。萎凋の途中で軽く揉み・傷つける工程も交互に加えます。この工程によって渋みが取り除かれるのです。 他の発酵茶を作る際、山本さんはその工程のために3種類の異なる機械を使用しています。ひとつは芽や若い葉に使われるもので、内部に空気が循環する容器です(ゆっくりと萎凋させます)。もうひとつは、回転しながら葉を軽く傷つけ、萎凋させる機械です。常に動き続けるわけではなく、ときどき停止し、その間に空気が送り込まれて萎凋が進みます。これはより成熟した葉に使用されます。そして最後に、手摘み茶の萎凋には伝統的な籠も使用しています。 山本さんは紅茶にとってとても大切なのは香りで16時間から20時間加工に時間がかかるといいます。2つ目に試飲したのは「ほうじ香り紅茶」。ベニフウキ品種の夏摘み葉を使用し、軽く焙煎した紅茶です。甘い香りをさらに引き出すための焙煎です。淹れ方は、茶葉3gに200mlの熱湯を注ぎ、3分間抽出。まず急須やカップを温めてから淹れることで、花のような美しい香りを楽しめます。日本では紅茶自体がまだ一般的とは言えず、焙煎紅茶はさらに珍しい存在です。山本さんはどのようにしえてこのアイデアを思いついたのでしょうか?山本さんは焙煎が好きで、「紅茶を焙じたらどうなるだろう?」と考え、6年前に試したのが始まりでした。それ以来作り続けています。誰もがこのお茶はとても違っていて、とても良いと感じました。紅茶の味が確かにするが、かなり長く抽出してもそれでもより甘い、と言う人もいました。苦味は非常に控えめで、タンニンや渋みも他の和紅茶と比べるととても穏やかです。また、はちみつのような甘い後味があり、とても愛らしく繊細だと感じた人もいました。さらに、参加者の一人は、これら二つのお茶はどちらも烏龍茶を思い出させるとさえ言いました。そして実際のところ、葉を傷つける機械こそが、お茶に花のような香りを生み出しているのです。その香りは通常、烏龍茶に典型的なものです。 イベントでの会話はどれもとても面白く、山本さんは、アレルギーへの効果が期待されるベニフウキ品種を栽培し始めた経緯や、夏に葉をかじる小さな虫が軽い酸化をもたらすことについても語りました。さらに、山本さんがお茶をどのように紹介しているのかについても話しました。彼はよく品評会に参加しており、受賞すると、そのお茶を紹介しやすくなり、注目も集めやすくなるそうです。また、自分のお茶を海外でも楽しんでもらいたいと願っていますが、まだその機会は得られていないとのことでした。もしかすると、このイベントがその第一歩になるかもしれません。最後のメッセージとして、山本さんは、今日のイベント、そして参加してくれたすべての茶愛好家の皆さんに出会えたことに心から感謝していると話してくれました。自分のお茶2種類を皆さんと分かち合えたことをとても嬉しく思っており、これからもそれぞれがさらに多くのお茶を試してくれることを願っているそうです。まあ、私たち茶好きにとっては、それは難しいことではありませんよね?😉山本さん、貴重なお時間と素晴らしいお茶を本当にありがとうございました! 次回のゲストは、静岡県の3代目茶農家、土屋祐子さんです。こちらのリンクからぜひご覧ください。

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –又木健文さん

1月に入り、「Meet the Tea Farmer」イベントが再び始まりました!今回のゲストは、鹿児島県曽於市の若手茶農家・又木建文さんです。又木さんは3代目の茶農家で、もともとは会計士として働いていましたが、6年前に退職し、家族の茶業「末吉製茶工房」でフルタイムで働くことを決意しました。お茶に対する強い情熱を持ち、主にかぶせ茶を生産しています。今回のイベントでは、彼の代表的なかぶせ茶と、煎茶の葉を使ったごく軽い焙煎のほうじ茶を試飲しました。 最初のお茶は、さえみどり品種のかぶせ茶。約2週間被覆し、4月末に収穫されたものです。又木さんのおすすめの淹れ方は、茶葉3gに対して80mlのお湯(80℃)で60秒。急須を軽く揺らしながら、少しずつ丁寧に注ぎます。抽出液の色は驚くほど鮮やかな緑色。又木さんは、これがかぶせ茶の大きな特徴だと説明しました。また、さえみどりはもともと苦味や渋味が少なく、美しい緑色を持つ品種でもあります。参加者は、甘みがあり上品な旨味が感じられ、強すぎないバランスの良さが魅力的だと話していました。又木さん自身も、これは自分が作る中で最もバランスの取れたお茶だと思っているそうです。実際、いくつかの賞も受賞しています。 興味深い質問がありました。「このお茶の栽培や製造において、最も影響が大きい要素は何ですか?」というものです。又木さんは、最も重要なのは畑での仕事だと答えました。このお茶の70%は畑での作業で決まり、20%が蒸し工程、残りがその他の工程だと考えているそうです。当日は曽於も非常に寒く、2煎目も楽しむことになりました。今度は90℃で30秒抽出。その間、鹿児島についても少し話しました。 又木さんは、鹿児島の火山活動についても説明してくれました。火山は頻繁に噴火し、その影響は茶畑にも及びます。火山灰が茶葉に降り積もるため、製茶前に葉を洗う必要があります。末吉製茶工房は又木さんの祖父が始めました。当時、隣人が茶業を辞めることになり、その畑と工場を丸ごと買い取り、お茶づくりを始めたのです。現在も残るやぶきたの一部はその当時のもので、約70年もの樹齢があります。鹿児島で最初期に植えられたやぶきたの一つです。 又木さんは国内外で多くの賞を受賞しています。父の代から顧客の声を重視し、品質向上に努めてきましたが、品評会への出品を本格的に始めたのは又木さん自身です。その結果、日本国内だけでなく海外でも高い評価を得ています。 2つ目に試飲したのは、少し珍しいほうじ茶。煎茶の葉を使用し、焙煎はごく軽めです。香りは豊かですが、味わいはとてもフレッシュで青みが残り、煎茶の特徴も感じられるユニークなお茶です。淹れ方は、茶葉3gに対して80mlのお湯(80℃)で40秒。抽出液の色も、焙煎が軽いことを物語っています。 このお茶はとても興味深く、とても心地よい香りがしました。参加者はこのお茶も大変気に入りました。どのように生まれたのかを尋ねると、又木さんはそのエピソードを語ってくれました。実はこのお茶の始まりは「失敗」だったのです。父が初めて火入れ機を使ってほうじ茶を作ろうとしましたが、煙が出たのを見て慌てて取り出しました。焦がしてしまったと思ったのです。しかし実際には軽く焙煎されただけで、その仕上がりがとても良かったのです。今では多くの人に愛されるお茶になりました。失敗に見えたことが成功へとつながったのです。 イベントの最後に又木さんからメッセージがありました。 「本日はご参加いただき本当にありがとうございます。私のために時間を作ってくださったことに心から感謝します。誰かがお茶を飲んで楽しんでくれることは、生産者にとって大きな喜びです。これからも良いお茶を作り続けていきたいと思います。」 私たちも、これからも又木さんのお茶を飲み続けたいです!情熱あふれるお茶づくりを本当にありがとうございます。 次回のゲストは、静岡県牧之原市の「牧之原山本園」5代目茶農家、山本守日瑚さんです。こちらのリンクからぜひご覧ください。

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –梶原敏弘さん

今シーズン最後の「Meet the Tea Farmer」イベントは、8月24日に開催されました。今回のゲストは、熊本県芦北地域にある小さな茶園「お茶のカジハラ」の3代目茶農家で代表を務める梶原敏弘さんです。梶原さんは主に釜炒り茶を生産しています。さらに中国や台湾へ渡り、釜炒り茶の製法を学んできました。有機栽培でさまざまなお茶を作っており、釜炒り茶だけでなく、和紅茶や烏龍茶も手がけています。お茶づくりを始めて40年になりますが、これまで一度も市場の茶取引(茶市場の競り)には出さず、常に直接販売を続けてきました。主な顧客は地元の人々です。 今回のイベントでは、2種類のお茶を試飲しました。香駿(こうしゅん)品種の爽やかな釜炒り茶と、釜炒り茶を焙煎して作ったユニークなほうじ茶です。 最初のお茶は、春摘みの香駿による釜炒り茶。とても個性的な品種です。ミルキーと表現する人もいれば、スモーキーと言う人もいますが、梶原さんはハーブのようなニュアンスがあると考えています。淹れ方は、茶葉3gに対して100mlのお湯(80〜90℃)で1分間抽出。すぐに釜炒り茶の特徴のひとつが分かります。抽出液の色が非常に澄んで明るく、煎茶など他の日本茶とはかなり異なります。参加者はこのお茶をとても気に入り、バランスが良く、中国茶に似ていると感じました。それには理由があります。梶原さんは中国や台湾へ渡り、現地の製茶方法を学んだからです。特に最初の工程である「酸化を止める工程」について多くを学びました。その方法は日本のやり方とは大きく異なります。学んだことを取り入れて製法を変えた結果、味わいはよりクリアに、香りもより強くなりました。 梶原さんは春の新芽は緑茶(釜炒り茶)にのみ使用し、その後の葉は和紅茶など別のお茶に使います。また、工場や使用している機械も見せてくれました。特に珍しいのは、小型で古い火入れ機。現在ではほとんど使われていない機械です。時には熱が逃げないように蓋をすることもあるそうです。 梶原さんの茶畑には「山茶(やまちゃ)」と呼ばれる野生に近い茶樹もあります。手入れが難しく、収量も多くありません。機械摘みも不可能です。これらの樹は樹齢100年以上。おそらく父親が茶業を始めた頃にはすでに存在していたため、どれだけ手間がかかっても作り続けたいと感じているそうです。自然に種から育った強い樹で、生命力にあふれています。また、在来種(種から育てた茶樹)も多く残しています。この地域は斜面が急で(最大30%の傾斜!)、植え替えが難しかったため結果的に在来を維持してきました。しかし近年、在来種の人気が高まっており、残してきて良かったと感じているそうです。 2つ目のお茶は、一番茶を使ったほうじ茶で、複数品種と在来種をブレンドしています。萬古焼の茶器で淹れ、茶葉3gに対して100mlのお湯(90〜100℃)で30〜40秒抽出します。焙煎によって非常にスモーキーな香りが立ちます。先ほどの古い火入れ釜を使用しているため、香りがより強く感じられるのかもしれません。しかし味わいはとても甘く、参加者は驚いていました。梶原さん自身は、夕方や食後にこのお茶を飲むのが好きだそうです。さっぱりしていてリフレッシュできるとのこと。冷茶にもおすすめだそうです。 最後に梶原さんからメッセージがありました。 世界中の皆さんと出会えたことに心から感謝していること、そしてまた会える機会を楽しみにしていると語ってくださいました。梶原さん、ありがとうございました。 次回のゲストは、鹿児島県曽於市の若手茶農家・又木建文さんです。こちらのリンクからぜひご覧ください。

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –井上憲治さん

7月20日、「Meet the Tea Farmer」ウェブキャストシリーズにて、井上憲治さんをお迎えすることができました。 井上さんは佐賀県嬉野地域にある井上製茶園の4代目茶農家で、代表も務めています。また、嬉野茶をよりモダンでクールな形で発信している若手生産者グループ「嬉野茶時」のメンバーでもあります。井上さんは静岡でお茶の勉強をし、修了後に佐賀へ戻って叔父から茶園を引き継ぎました。現在は約3ヘクタールの茶畑を管理し、主に玉緑茶と釜炒り茶を生産していますが、ほうじ茶や和紅茶も少量手がけています。また、ミントや柚子など地元の植物でお茶に香りづけをするのも好きだそうです。 イベント当日は、井上さんのお茶を2種類試飲しました。つゆひかり品種の甘みのある玉緑茶と、玉緑茶と柚子をブレンドした爽やかなお茶です。 まずは単一品種・つゆひかりの蒸し製玉緑茶から始まりました。この品種は日本各地で栽培されていますが、玉緑茶として仕上げられることはあまり多くなく、今回のお茶は特別なものです。井上さんは150〜200mlのお湯に対して3〜5gの茶葉を使い、70℃で1分間抽出することを勧めました。抽出中は急須を動かさないようにとのこと。そして、出来上がったお茶は4回に分けて少しずつ注ぎ分けます。井上さんが使っていたのは「ふたなし」と呼ばれる蓋のない急須。白く美しいこの茶器は、嬉野茶時によって企画され、地元で制作されたものです。ふたなし急須は茶葉の様子を見ながら淹れられるため便利で、内部にゆとりがあり、茶葉が水の中で自由に舞う様子がよく分かります。 このお茶は非常に鮮やかな色合いでした。試飲しながら、井上さんはつゆひかりについて説明してくれました。この品種は害虫に強いため、多くの農薬を使う必要がありません。静岡で育成された比較的新しい品種で、近年とても人気が高まっています。しかし流通量は多くなく、現在は静岡県外にはほとんど出回らないとのこと。井上さんが栽培しているのは幸運であり、私たちが味わえたのはさらに幸運です。この玉緑茶は5月3日に摘採され、約10日間被覆栽培された後に製造されました。浅蒸しを用いており、井上さんは、この品種は蒸しやすいため浅蒸しを好むとのこと。ただし、一般的には深蒸しとして仕上げられることが多い品種です。参加者はこのお茶を大いに楽しみ、上品で新鮮な香りと旨味を感じ、そばを思わせる風味もあると話していました。2煎目は熱めのお湯で淹れることを勧めました。成分が抽出されやすくなり、よりコクのある味わいになるからです。井上さんはこう言いました。 「一煎目をやさしく淹れれば、二煎目、三煎目もおいしく楽しめます。」 また、このお茶は冷茶にも向いており、「氷出し」もおすすめだそうです。 2つ目のお茶は、玉緑茶と柚子のブレンドでした。井上さん自ら柚子を収穫し、皮をむいて乾燥させたそうです。添加物は一切なく、純粋な乾燥柚子皮のみを使用しています。玉緑茶には、つゆひかりとやぶきたをブレンド。柚子の香りに負けず、しかし調和するお茶を目指してこの2品種を選びました。 淹れ方は、茶葉5gに対し約150mlの水。お湯は65℃まで冷まし、柚子の苦味が強く出すぎないようにし、90秒抽出します。こちらも非常に美しい鮮やかな色合いでした。参加者は、柚子の爽やかさとお茶の旨味のバランスが素晴らしいと評価しました。このお茶も冷茶にすると、柑橘のフレッシュさと玉緑茶の旨味が見事に引き立ちます。 井上さんは次に「柚子ほうじ茶」を作る予定だそうです。 試飲の合間には、佐賀茶や井上製茶園についても話しました。参加者からは多くの質問が寄せられ、玉緑茶と釜炒り茶の違い、茶器について、浅蒸しと深蒸しの違いなど、さまざまな話題が広がりました。 ありがとうございました、井上さん!また井上さんのお茶を味わえるのを楽しみにしています。 次回のゲストは熊本県芦北地域の3代目茶農家、梶原敏弘さんです。こちらのリンクからぜひご覧ください。

Meet The Tea Farmer(茶農家と出会う) –中森大さん

3月23日に開催された「Meet the Tea Farmer」では、オンラインで中森大さんとお茶のひとときをご一緒することができました。中森さんは三重県、伊勢神宮のほど近くにある地域の17代目(!!!)茶農家です。中森製茶を率いるだけでなく、「手揉み」名人としても知られ、煎茶を手で揉み上げる伝統技術の達人でもあります。中森さんは農業を心から楽しんでおり、その情熱とお茶を私たちに分かち合ってくださいました。今回は、非常に貴重な手揉み煎茶と、玄米ほうじ茶という特別なお茶を一緒に味わいました。 まずは手揉み煎茶を鑑賞するところから始まりました。中森さんは最初に、茶葉を3本取り出し、熱湯を入れたカップに入れて葉の姿を楽しむことを提案しました。手で丁寧に揉み上げられた濃緑色の細い針のような茶葉は見事で、これを味わえる私たちはとても幸運でした。手揉み茶は非常に希少で、高価であるだけでなく入手も困難です。特別な機会のための特別なお茶です。参加者の質問に答え、中森さんは「特別なお客様が来たときに手揉み煎茶を淹れるのが好きです」と話していました。 今回は「氷出し」で淹れる方法を提案してくれました。3gの茶葉をカップに入れ、大きな氷を一つのせて、あとは待つだけ。通常は約10分かかりますが、今日はゆっくり楽しみます。中森さんは、常滑の陶芸家・ヨシキさん作の、底に台が付いた珍しい絞り出しを使用しました。焼成時に海藻をのせて焼いたため、表面に美しい模様が残っています。抽出後の液色はとても淡いですが、「色に惑わされないでください、味はとても良いですよ」と中森さん。氷出しを勧めた理由については、「氷出しなら失敗しないから!」とのことでした。温かく淹れる場合は、20mlほどの浅い小皿や平たい茶杯に、60℃のお湯を使い、3gの茶葉を2分間抽出する方法を紹介してくれました。非常に凝縮された、贅沢なお茶です。「一度きりの大切な会話のときには、たくさん飲む必要はありません。少しずつ味わう数口で十分なのです」と中森さんは語りました。 次に味わったのは玄米ほうじ茶です。手揉み茶とは対照的に、こちらは日常のお茶。しかし少し珍しく、通常は焙煎していない緑茶と合わせる玄米茶を、ほうじ茶と組み合わせたものです。この発想は、東京でお茶を販売していたときに生まれました。東京では玄米茶もほうじ茶も人気があると気づき、「それなら両方を合わせてみよう!」と考えたのです。玄米は近隣の町のものを使用するなど、素材も地元にこだわっています。淹れ方は、100mlのお湯(100℃)に対し茶葉5gで30秒抽出。苦味や渋味が苦手な方にもおすすめのお茶です。参加者はどちらのお茶も大いに楽しみました。試飲後には、お茶作りの写真を見ながら中森さんの解説も聞くことができました。 最後に、中森さんから心に残る言葉が贈られました。 「お茶はどこからでも買うことができますが、味を作るのは茶農家です。茶畑での仕事はとても重要です。工場だけではお茶は作れません。茶畑がとても大切なのです。長時間の仕事ではありますが、茶づくりも茶栽培も本当に楽しい。皆さんにこの気持ちが伝わっていれば嬉しいです。お茶を飲んで皆さんの顔に笑顔が浮かべば、茶農家もまた笑顔になります。どうか、皆さんの顔に笑顔がありますように。」 中森さん、素晴らしいお茶と美しい茶会を本当にありがとうございました。 次回のゲストは佐賀県嬉野地域の4代目農家、井上憲治さんです。こちらのリンクからぜひご覧ください。