3月21日、スペイン・マドリードにて煎茶道のイベントが開催されました。私たちの友人である和菓子うたたねの中森詩子さんが、日本茶アドバイザーであり煎茶道の実践者でもある栗田順子さんをお招きし、まだあまり広く知られていない煎茶道を伝える美しいワークショップを2回行ってくださいました。
栗田先生は静岡のご出身で、長年にわたり日本茶アンバサダーとして活動されてきました。2000年からハンガリーに在住し、旅をすることを楽しんでいらっしゃいます。数年前、サンティアゴ巡礼の道を歩いた際、愛用の茶器を携え、道中で出会った人々に日本茶を淹れて振る舞いました。その経験がきっかけでスペインに恋をしたという栗田先生にとって、再びスペインの地に戻り煎茶道を紹介することは、とりわけ大きな喜びでした。
私たちの共同創設者であるアナも、解説と通訳のサポート役としてイベントに参加しました。お点前の補助は、鮮やかで美しいオレンジ色の着物を纏ったカナさんが務めました。

ワークショップでは、まず栗田先生が参加者に日本茶と煎茶道の歴史を紹介しました。続いて、これから披露するお点前(茶会におけるお茶を点てる手順)について説明し、あわせてお茶の受け取り方や茶器・お菓子の扱い方に関する作法も教えてくださいました。そしていよいよ、美しいお点前の実演へ。栗田先生の煎茶道の流派「東阿部」のために特別に作られた、八女産の上質な玉露が淹れられました。お点前を進めながら、栗田先生は優雅に、ご自身の茶器にまつわる物語を語ってくださいました。

数年前、日本への帰省中に、ご実家の棚の中でひとそろいの茶器を見つけたそうです。お母さまに尋ねたところ、それは亡きお祖父さまのものだったことがわかりました。ただ、ご家族の知る限り、お祖父さまは煎茶道を嗜んではいなかったとのこと。どなたかからの贈り物だったのかもしれません。
栗田先生はお母さまに、その茶器を譲り受けてヨーロッパに持ち帰ってもよいかと尋ねました。そしてそのときから、好奇心に導かれるようにして煎茶道について深く学び始め、本格的にその道を歩むことを決意されました。自分をこのお茶の道へと導き、さまざまな国の人々とお茶を分かち合うきっかけを与えてくれたお祖父さまとあの茶器に、深い感謝を感じていると語っておられました。





玉露には、詩子さんが立春の日を祝って特別に作った練り切りが添えられました。お点前が終わった後は、よりくつろいだ雰囲気の中で、参加者の皆さんが質問をしたり感想を語り合ったりする時間が設けられました。この時間には京都のほうじ茶と、詩子さんが選んでくださったお菓子(カステラ饅頭、桜の琥珀糖、きなこ棒)が振る舞われました。

スペインで煎茶道を楽しむという、なんとも贅沢な午後でした。詩子さん、栗田先生、素敵な時間をありがとうございました!
文:アナ
訳:茶谷悠太

