2020年の振り返り

もうすぐに2021年を迎えようとしていますね。誰も想像することが出来なかった2020年を最後に振り返ってみましょう。   2020年の1月末に私たちは当協会の1周年記念を祝い、これからの新しい1年に期待で胸を膨らませていました。そしてたくさんの活動やプロジェクトを計画していました。(日本茶のマスターコースや海外での日本茶ツアーなど)。   しかし、そのあとすぐに新型コロナウイルスの感染拡大とパンデミック宣言によってすべての計画を変更・中止しなくてはならなくなりました。感染の拡大と国境封鎖によって、私たちは海外から学生を日本に招くことが出来なくなり、日本茶のマスターコースはすべて中止せざるをえませんでした。さらに、2019年に行ったヨーロッパへの日本茶ツアーのように海外での活動も不可能になり、早い段階で断念を余儀なくされました。   一方で、パンデミックによって私たちは新しい方法を開拓することが出来ました。2020年は国際的な移動が困難になるだろうということが早い段階からわかったため、オンラインでの活動に移行することに決めました。その結果、コミュニティの構築や日本茶の教育に関する新しい取り組みがいくつか誕生しました。 4月から、だれでも自由に参加できる「グローバルティーパーティー」というオンラインのイベントを開始しました。4月から9月の間に6回開催し、日本国内外の茶農家、茶道の先生、お茶のスペシャリストの方々と共にオンラインでつながりながら日本茶を楽しみました。参加者は18の国と6の大陸から合計138名にものぼり、まさにグローバルなイベントになりました!   5月には「ライブジャパニーズティーセッション(日本茶ライブセッション)」にて茶の専門家のライブインタビューを行いました。12月までに、日本茶の促進や拡大を行っている茶の専門家を6人招き、日本茶への情熱や活動、今後の展望についてお話しいただきました。これまでのゲストには、日本茶ハブのXeniaさん、Horenso ConsultingのSusanne さん、Hojicha.coのFrancoisさん、元観光ホスピタリティ教授のLeeさん、Parlor TeaのBonnieさん、そして最近ではYunomi.lifeのIanさんが登場しました。   また、関係を気づく中で実際に顔を合わせることの重要性を認識し、「Meet the Tea Farmer」 というイベントを開催しました。茶の専門家や茶愛好家にとっては、自分が好きなお茶を作っている農家に会うことが出来る機会となり、茶農家にとっては、海外の消費者の声を直接聞く貴重な機会となりました。7月の初回開催から11月までの間に、日本の3つの違う地域から5人の茶農家の方々、静岡の渡邉 潤さん、京都の森崎 領さん、上嶋 伯協さん、細井 […]

日本茶の味は地域で変わる

日本茶の味と聞いて、真っ先にイメージする物とは何ですか? 出汁の様な旨味? スッキリとした苦さ? それとも渋―い、田舎の爺ちゃん婆ちゃんの家で出されるような味? 日本茶の味は、旨味、甘み、苦味、渋みの4つに大きく分かれますが、どの味を追求するかは生産する地域や栽培の仕方によってバラバラです。そして特に大事な事は「○○県のお茶はこういう味だと自分は知っている。だから○○県のお茶なら何でもいい」という考えは不適切であり、そういう思い込みは「どうして俺はこんな物を買ってしまったんだ・・・」と後悔する結末になりがちです。 自分が住んでいる静岡県のお茶を、例として説明します。静岡のお茶の傾向は、地域によって大きく二つに分かれます。今回は代表例として本山茶と、牧之原茶を挙げます。 ●本山茶:本山は静岡市の山間部、藁科川と安倍川の上流域 足久保一帯にある地域で生産されたお茶です。 深山幽谷、茶幻郷、皆さんがイメージする ザ・茶畑 そのまんまの光景が広がっています。静岡駅から車で20分あれば行ける場所なので静岡による機会があれば是非どうぞ。本山茶の特徴は「旨味」または「甘味」の味が先に来て、後味は「苦味」があり、蒸し方は浅蒸し~中蒸しの傾向があります。「お茶自体が持つ風味を極限まで追求したお茶」だと言われています。火香については茶問屋の火入れ具合にもよりますが、自分の経験だと 1000円/100 g辺りだと火香が感じられ、1500円/100 g以上だと殆ど火香は無く、青葉or海苔の香りがしました。本山茶は食事と一緒に飲むよりはお茶の時間に絞って飲んだ方が楽しめると思います(自分は四六時中飲んでいますけれど) ●牧之原茶:牧之原は明治時代に開拓された少し高い台地の上に広がる巨大な茶産地のお茶です。晴れた日に行くと「太陽、空、緑色」の世界です。カテキンが充満しています。牧之原茶の特徴は山間よりも強い日差しの下で育つ為、葉が硬い事です。その為、本山茶と同じ浅蒸し製法では、ゲキニガの液体しか出来ません。よって蒸し時間を長くした中~深蒸し製法を行うか、寒冷紗などで覆いを被せるなどの工夫を重ねて作られています。「作り手の意思に合わせて改良を加えたお茶」だと言えます。その為、濃い旨味を持つ場合もあれば、苦味と渋みだけのお茶もあるなど、豊富なバリエーションを持っています。ただし、全体的にパンチの効いた味なので、空きっ腹で飲むと大抵後悔します。食事の後に飲むか、紅茶と同じようにお茶菓子をお供に飲む事をお勧めします。上の二つはいずれも静岡県を代表する産地のお茶です。同じ県内でも大きく個性が分かれているという事が伝わったでしょうか? 付け加えて言うと、お茶の味は生産者の育て方、茶問屋がどう手を加えたかで更に変化します。産地だけでお茶を選ばず、生産者の発信する情報、売る人の商品説明、そしてできれば適切な淹れ方で淹れたお茶を試飲してから購入する事を自分はお勧めします。 伊澤龍一

100人のパイオニア・メンバー

現在、「パイオニア・メンバー」100名を募集しています! メンバーシップ・プログラムは私たちの組織の中核的存在です。世界中とのコラボレーションを通じ、日本茶の世界に新たな成長を呼び起こすという私たちの使命を果たすうえで、重要な役割を担っています。コラボレーションを通して団結することで、国内での日本茶需要の減少や、海外での日本茶へのアクセスの悪さなど、国内外で日本茶が直面している様々な課題に、私たちが一丸となって取り組むことができると信じています。 多くのメンバーが変革の起爆剤となり、日本茶業界に新たな活力をもたらすことができると信じ、2019年10月よりメンバーシップ・プログラムを開始しました。その後、約100名の方に有料・無料会員として登録していただき、今では約1000名の方に当協会のネットワークに所属していただいています。 この度、新たにパイオニア・メンバーを募集します。ティーフェローまたはティーカタリストレベルで入会された最初の100名の方には、日本茶界の変革を牽引し、支えた最初のメンバーであることを示す「パイオニアメンバー」のステータスを贈呈します。 パイオニアメンバーは、ティーフェロー、ティーカタリストとしての特典に加え、パイオニアメンバーボードにプロフィールを掲載し、ウェブサイト上で詳細な活動を紹介することができます。一例として、パイオニアメンバーであるドイツのHorenso Consultingからきた Susanneと、スウェーデンにあるJapanese Tea Hubからきた Xeniaの記事を是非ご覧ください。   パイオニアメンバーとしてのご参加をお待ちしております!

しぼりだし

先日、日本の伝統的な茶器で「しぼりだし」という物を、滋賀県の「信楽」という場所で買ってきました。しぼりだしの起源は急須より古く、中国の蓋碗から進化したらしいです 「お茶のエキスを最後まで絞り出せる」から「絞り出し」という名前がついたとの事。自分が買ってきたのはこの二つ その表面はツルツルした箇所とざらざらした箇所の二つに分かれていて、特にざらざらした部分は、フタの滑り止めの役割も果たしている。機能的! 信楽はたぬき人形でお馴染みの焼き物の街ですが、しぼりだしはこの街でも数が少ない茶器なので、何軒かお店を回って、やっと買えました! 伊澤龍一

ベルリン ティーフェスティバル 2019

先週末、ベルリン ティーフェスティバルが開催されました。私たちは既に大きな期待を抱いていたにも関わらず、実際のイベントはそれをはるかに上回るものでした! この美しいフェスティバルのために、驚くほど温かく幅広いお茶のコミュニティがベルリンに集まりました。50以上の出展者やアクティブな企画、60以上のプログラムがあり、1000人以上の参加者が集まりました: チェコ共和国、ポーランド、フランス、ベルギー、スイス、オーストリア、北欧諸国、イタリア、さらには中国、台湾、そして…日本まで! 多くの見どころがありましたが、ここでは私たちの中心的トピックである「日本茶」に焦点を当てたいと思います! 私たちの友人であり、日本茶の専門家でもあるジェニファー・スワンは、「お茶と持続可能性」というテーマで講演を行い、日本における有機農業と慣行農業の違いや、あらゆる観点(農業、植物、茶農家、認証、消費者…)から見たその意味するところを力強く伝えました。40人近くの参加者がこの講演に参加し、GJTeaメンバーのアナは森井農園(京都府・加茂)の有機煎茶を淹れました。 出展者の中には茶農家から高品質の日本茶を直輸入しているYutaka Teeの姿もありました。フェスティバルが終わり皆が片付けをする中、溌剌とした人々がクリスの周りに座ってもっとお茶を飲みたいと言い、最後に残るうまみを飲まずして帰ろうとしなかったのは特に素晴らしいことでした。日本茶インストラクターで鑑定家のタイアス・ソーセンも、日本茶に関する英語の新刊を携えてフェスティバルを訪れていました! Tee Feinkost では、驚くことにタン氏が濃茶のテイスティングを行っていました。そして最後に、ベルリンの新しい紅茶会社であるBerliner Tea は、茶葉の他に、無料で茶葉のタトゥーを彫ってもらえるタトゥーアーティスト、モダンスタイルの西洋風芸者、未来を感じさせるほうじ茶の自動焙煎機など、非常にオルタナティブな趣向を会場に持ち込んでいました。 ベルリン ティーフェスティバルは1日しか開催されないが、その近日中には1週間にわたって様々なイベントが開催されました。フェスティバルの翌日は日本茶に関する3つのイベントが行われました: ・上田宗箇流の伝統を受け継ぐ茶道家・タン氏による茶会 ・Fortune’s Exploitsのアンネ・パウラク氏による「Breathing Tea – a contemporary […]