バイオスティミラント資材の実証実験

バイオスティミラントって聞いたことがありますか? バイオスティミラントとは、植物に対する非生物的ストレスを制御することにより気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、健全な植物を提供する新しい技術です。 (日本バイオスティミラント協議会ホームページより) 現在の農業では、 ①優秀な作物遺伝子資源の開発:品種改良のこと②植物栄養の供給:肥料やりのこと③生物的ストレス(害虫、病気、雑草):除草、農薬散布のこと の制御が品質の良い農産物を生産する作業の中心です。 バイオスティミラントは、それらの3つに加えて、農作物が、発育の過程で受ける生物的ストレスおよび非生物的ストレスを軽減することにより、植物本来が持つポテンシャルを最大限引き出すことを目的とした考え方に基づいて、作られた資材です。 作物は、もともと、種の時点で、収穫時の最大収穫量が遺伝的に決まっています。ところが、発芽時や、苗の時期、開花期、結実期、収穫直前などに、病気や害虫(生物的ストレス)、高温や低温、物理的な被害(非生物的ストレス)により、本来、収穫できるはずだった収量が、非生物的ストレスと生物ストレス(下図の赤と白の)によって減少していくことを示したものが上図です。この減少量のことを、収量ギャップと表現します。このうち、非生物的なストレスによる収量減少を軽減することがバイオスティミュラントの役割です。 (日本バイオスティミラント協議会ホームページより) 今回、スペインの バイオベンチャー企業のバイオレゾン社と共同で、京都府和束町の茶畑にて、バイオスティミラント資材の実証実験をおこないました。 今回、使用したバイオスティミラント資材は、こちらのバイオ増強剤・Algafert。 このバイオ増強剤・Algafertにより、早春の凍霜害を防ぐことを目的としています。 作業自体は、農薬の噴霧とほぼ変わりません。 また散布後も特に変化はありません。(当然ですが。)今春の新芽が萌芽する頃になにか変化が生まれていたら、本当に素晴らしいです。

新プログラム 日本茶エバンジェリスト

ここ日本において日本茶はもはや古臭いように思われ、若者に至っては滅多に飲むことも、ましてや昔ながらの飲み方をすることもないという通説があります。若者世代にお茶をより身近に感じてもらう必要があることは明らかです。そこで、私たちは新たな取り組みの一つとして日本茶エバンジェリストプログラムを立ち上げます。 本プログラムは今年海外に留学する日本の大学生を対象としています。学生らは留学の際、自国の文化を他国学生に伝える大使の役割を担うことが往々にしてあります。しかし、日本人学生は自国文化について深く知らないという話をよく耳にするでしょう。日本茶は日本文化の非常に奥深い部分にあるため、学生らが日本茶について学び、留学先で発信できるよう取り組みます。この2つの活動を通じて、世界中の学生から日本茶への関心を集め、同時に日本の学生たちにも改めて日本茶への関心を持ってもらえるよう願います。 今年は世界各国に留学予定の学生を20人集めることを目標にしています。今年留学を予定しており、本プログラムに関心がありそうな日本人学生をご存知であれば、ぜひ特設ページもご覧ください。

GJTea 3周年!

1月29日、私たちは協会設立3周年を迎えました。月日が経つのは早いもので、その道のりは本当に険しいものでした。荒波の時期は続きますが、私たちは一旦立ち止まり、長年にわたって私たちをサポートし、励ましてくださった全ての皆さまに感謝したいと思います。   真にグローバルな組織として、私たちは日本での対面のイベントと並行し、様々な国に散らばる皆さんに向けたオンラインイベントの両方を開催することに決めました。時間帯によっては早朝や深夜になることもありましたが、茶農家、茶商、お茶の先生、そしてもちろんお茶を愛する人たちなど、さまざまなバックグラウンドを持つ約40名のメンバーが集まりました。   京都の和束町に直接集まったメンバーから、オンラインで参加したメンバーまで、まずはご挨拶するところからイベントははじまりました。続いて、表千家茶道家元のアルバさんによる素敵なサプライズ。彼女による美しい茶道のデモンストレーションの披露を見た後、和束町に集まった人たちは抹茶と茶花をかたどった地元のお菓子を楽しみました。   抹茶でリフレッシュし、元気を取り戻した私たちは、過去3年間の活動の進捗を振り返り、将来のビジョンを共有し、現在のプロジェクトを発表しました。協会が設立され、エネルギーと熱意に満ちていた2019年、私たちは和束で日本茶マスターコースを2回開催し、20名の受講生を迎えることができました。そしてわずか数カ月後の2019年10月、私たちのチームはヨーロッパ(ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、ベルギー、オランダ)にも赴き、お茶のワークショップやイベントを開催しました。この旅で、私たちはメンバーシップ・プログラムも立ち上げ、最初のファウンデーション・コースを対面で開催しました。私たちは来年への熱意と希望に満ち溢れていました。   しかし2020年になり、パンデミックによってすべての計画が覆されました。マスターコースも、海外出張も、無し。しかし、私たちは落胆することはありませんでした。日本茶が世界でどれだけ多くの人に愛されているかを目の当たりにし、日本茶の生産者の力になりたいと思いました。そこで、私たちは活動をオンラインに移行することにしました。2020年3月、毎月1回開催している「メンバー茶会」、2020年4月、数回開催している公式の「お茶会」、そして2020年7月には各地の茶農家を招き、茶畑やお茶を紹介する「茶農家さんとの出会いイベント」を開始しました。そして2020年10月、しばらくは参加者を日本に招くことができないと考え、ファウンデーションコースのオンライン開催も開始しました。   2021年には、これらの活動の多くを継続しました。さらに2021年3月には、次の第2レベルである、中級コースのオンライン開催も開始しました。そしてもちろん、2021年東京オリンピックの期間中、最大の活動である、15日間にわたって日本の15のお茶の産地を紹介する「日本茶マラソン」を行いました。記念イベントに参加した多くの方々から、日本茶マラソンが最も印象に残ったという感想をいただきました。   今後の展望はといいますと、協会としては、日本茶の教育や体験の中心的存在として認知され、日本茶で世界がもっと平和になり、日本茶がもっと身近なものになるよう、お手伝いしていきたいと考えています。それに向け、国内と海外の両面からアプローチしたいと考えています。具体的には、世界の大都市と日本の茶産地に、お茶の講座やイベントを開催する「日本茶のカタリスト」が率いる日本茶の拠点を作り、地元の人々や観光客に日本茶の知識を伝えていきたいと考えています。   2022年というもっと近い将来の話ですが、私たちはいくつかの新しいプロジェクトにも着手しています。特に旅行が制限された世界的なパンデミックの時期、私たちはビジュアルコンテンツが本当に重要だと感じたため、ビデオコンテンツにさらに力を入れていくつもりです。ユーチューブ・チャンネルを利用して、日本のお茶の産地やお茶の種類を動画で紹介していきたいと考えています。そして最終的には、日本茶のドキュメンタリーを作りたいと思っています。現在のプロジェクトは、それに向けて技術を身につけ、映像を集めるための素晴らしい訓練にもなると思っています。   もうひとつ重要なのは、日本や海外でお茶を愛する若い世代を育てることです。それを念頭に置き、私たちは海外に留学する日本の大学生に焦点を当てた、日本茶エバンジェリストのプロジェクトに取り組んでいます。彼らに日本茶について教え、必要なお茶キットを提供することで、彼ら自身が日本茶への関心を深め、日本茶を世界に広める一助になればと考えています。    この荒波の時期は厳しい日々が続いています。しかし、私たちのマインドは前へと進んでいます。まずは3周年、そしていつか30周年も祝うことができますように!

GJTea 2周年

1月31日、私たちは2周年を迎えます!新しい組織としての最初の数年は、決して楽なものではありませんでした。パンデミックが世界を席巻する中、昨年は色々な紆余曲折がありました。しかし、グローバルなコラボレーションを通じて日本茶の世界に新たな成長をもたらすというミッションに導かれ、私たちのチームは手を緩めることなく、より一層努力を重ねてきました。   今年は、コミュニティ形成、情報共有、教育を中心とした活動の継続と拡大を目指しています。昨年より、日本茶事情を概観し、その時々のトレンドトピックを紹介する日本茶レポートを毎月発行しています。日本茶業界の中核組織として130年以上の歴史を持つ日本茶中央機構とより緊密な関係を築くことで、日本茶に関するより深い洞察に富んだ情報を共有できると考えています。   教育の面では、昨年はパンデミックの影響を大きく受けたプログラムもありましたが、日本茶基礎講座オンラインコースのような新しいプログラムも始まりました。今年もオンライン教育プログラムの継続と拡大を計画しています(日本茶中級オンラインコースは近日開講予定!)。もちろん、パンデミックが落ち着き、旅行が安全にできるようになり次第、日本茶マスターコースのような対面式の教育プログラムも再開する予定です。   世界の日本茶コミュニティ(そこのあなた!)が私たちの協会のバックボーンですので、今年は日本の様々な地域のお茶の生産者だけでなく、世界中のお茶の専門家や愛好家にもっと参加していただくことを目指しています。直接お会いすることはまだ難しいので、お茶の集いや茶農家との交流イベントなど、ほとんどの活動をオンラインで継続する予定です。   私たちにはたくさんの計画やアイディアがありますが、そのどれもが皆様なしには成り立ちません。皆様の変わらぬご支援に感謝し、皆様と一緒に3年目を迎えられることをとても楽しみにしています!   シモナ・スズキ GJTea代表

2020年の振り返り

もうすぐに2021年を迎えようとしていますね。誰も想像することが出来なかった2020年を最後に振り返ってみましょう。   2020年の1月末に私たちは当協会の1周年記念を祝い、これからの新しい1年に期待で胸を膨らませていました。そしてたくさんの活動やプロジェクトを計画していました。(日本茶のマスターコースや海外での日本茶ツアーなど)。   しかし、そのあとすぐに新型コロナウイルスの感染拡大とパンデミック宣言によってすべての計画を変更・中止しなくてはならなくなりました。感染の拡大と国境封鎖によって、私たちは海外から学生を日本に招くことが出来なくなり、日本茶のマスターコースはすべて中止せざるをえませんでした。さらに、2019年に行ったヨーロッパへの日本茶ツアーのように海外での活動も不可能になり、早い段階で断念を余儀なくされました。   一方で、パンデミックによって私たちは新しい方法を開拓することが出来ました。2020年は国際的な移動が困難になるだろうということが早い段階からわかったため、オンラインでの活動に移行することに決めました。その結果、コミュニティの構築や日本茶の教育に関する新しい取り組みがいくつか誕生しました。 4月から、だれでも自由に参加できる「グローバルティーパーティー」というオンラインのイベントを開始しました。4月から9月の間に6回開催し、日本国内外の茶農家、茶道の先生、お茶のスペシャリストの方々と共にオンラインでつながりながら日本茶を楽しみました。参加者は18の国と6の大陸から合計138名にものぼり、まさにグローバルなイベントになりました!   5月には「ライブジャパニーズティーセッション(日本茶ライブセッション)」にて茶の専門家のライブインタビューを行いました。12月までに、日本茶の促進や拡大を行っている茶の専門家を6人招き、日本茶への情熱や活動、今後の展望についてお話しいただきました。これまでのゲストには、日本茶ハブのXeniaさん、Horenso ConsultingのSusanne さん、Hojicha.coのFrancoisさん、元観光ホスピタリティ教授のLeeさん、Parlor TeaのBonnieさん、そして最近ではYunomi.lifeのIanさんが登場しました。   また、関係を気づく中で実際に顔を合わせることの重要性を認識し、「Meet the Tea Farmer」 というイベントを開催しました。茶の専門家や茶愛好家にとっては、自分が好きなお茶を作っている農家に会うことが出来る機会となり、茶農家にとっては、海外の消費者の声を直接聞く貴重な機会となりました。7月の初回開催から11月までの間に、日本の3つの違う地域から5人の茶農家の方々、静岡の渡邉 潤さん、京都の森崎 領さん、上嶋 伯協さん、細井 […]

日本茶の味は地域で変わる

日本茶の味と聞いて、真っ先にイメージする物とは何ですか? 出汁の様な旨味? スッキリとした苦さ? それとも渋―い、田舎の爺ちゃん婆ちゃんの家で出されるような味? 日本茶の味は、旨味、甘み、苦味、渋みの4つに大きく分かれますが、どの味を追求するかは生産する地域や栽培の仕方によってバラバラです。そして特に大事な事は「○○県のお茶はこういう味だと自分は知っている。だから○○県のお茶なら何でもいい」という考えは不適切であり、そういう思い込みは「どうして俺はこんな物を買ってしまったんだ・・・」と後悔する結末になりがちです。 自分が住んでいる静岡県のお茶を、例として説明します。静岡のお茶の傾向は、地域によって大きく二つに分かれます。今回は代表例として本山茶と、牧之原茶を挙げます。 ●本山茶:本山は静岡市の山間部、藁科川と安倍川の上流域 足久保一帯にある地域で生産されたお茶です。 深山幽谷、茶幻郷、皆さんがイメージする ザ・茶畑 そのまんまの光景が広がっています。静岡駅から車で20分あれば行ける場所なので静岡による機会があれば是非どうぞ。本山茶の特徴は「旨味」または「甘味」の味が先に来て、後味は「苦味」があり、蒸し方は浅蒸し~中蒸しの傾向があります。「お茶自体が持つ風味を極限まで追求したお茶」だと言われています。火香については茶問屋の火入れ具合にもよりますが、自分の経験だと 1000円/100 g辺りだと火香が感じられ、1500円/100 g以上だと殆ど火香は無く、青葉or海苔の香りがしました。本山茶は食事と一緒に飲むよりはお茶の時間に絞って飲んだ方が楽しめると思います(自分は四六時中飲んでいますけれど) ●牧之原茶:牧之原は明治時代に開拓された少し高い台地の上に広がる巨大な茶産地のお茶です。晴れた日に行くと「太陽、空、緑色」の世界です。カテキンが充満しています。牧之原茶の特徴は山間よりも強い日差しの下で育つ為、葉が硬い事です。その為、本山茶と同じ浅蒸し製法では、ゲキニガの液体しか出来ません。よって蒸し時間を長くした中~深蒸し製法を行うか、寒冷紗などで覆いを被せるなどの工夫を重ねて作られています。「作り手の意思に合わせて改良を加えたお茶」だと言えます。その為、濃い旨味を持つ場合もあれば、苦味と渋みだけのお茶もあるなど、豊富なバリエーションを持っています。ただし、全体的にパンチの効いた味なので、空きっ腹で飲むと大抵後悔します。食事の後に飲むか、紅茶と同じようにお茶菓子をお供に飲む事をお勧めします。上の二つはいずれも静岡県を代表する産地のお茶です。同じ県内でも大きく個性が分かれているという事が伝わったでしょうか? 付け加えて言うと、お茶の味は生産者の育て方、茶問屋がどう手を加えたかで更に変化します。産地だけでお茶を選ばず、生産者の発信する情報、売る人の商品説明、そしてできれば適切な淹れ方で淹れたお茶を試飲してから購入する事を自分はお勧めします。 伊澤龍一

100人のパイオニア・メンバー

現在、「パイオニア・メンバー」100名を募集しています! メンバーシップ・プログラムは私たちの組織の中核的存在です。世界中とのコラボレーションを通じ、日本茶の世界に新たな成長を呼び起こすという私たちの使命を果たすうえで、重要な役割を担っています。コラボレーションを通して団結することで、国内での日本茶需要の減少や、海外での日本茶へのアクセスの悪さなど、国内外で日本茶が直面している様々な課題に、私たちが一丸となって取り組むことができると信じています。 多くのメンバーが変革の起爆剤となり、日本茶業界に新たな活力をもたらすことができると信じ、2019年10月よりメンバーシップ・プログラムを開始しました。その後、約100名の方に有料・無料会員として登録していただき、今では約1000名の方に当協会のネットワークに所属していただいています。 この度、新たにパイオニア・メンバーを募集します。ティーフェローまたはティーカタリストレベルで入会された最初の100名の方には、日本茶界の変革を牽引し、支えた最初のメンバーであることを示す「パイオニアメンバー」のステータスを贈呈します。 パイオニアメンバーは、ティーフェロー、ティーカタリストとしての特典に加え、パイオニアメンバーボードにプロフィールを掲載し、ウェブサイト上で詳細な活動を紹介することができます。一例として、パイオニアメンバーであるドイツのHorenso Consultingからきた Susanneと、スウェーデンにあるJapanese Tea Hubからきた Xeniaの記事を是非ご覧ください。   パイオニアメンバーとしてのご参加をお待ちしております!

しぼりだし

先日、日本の伝統的な茶器で「しぼりだし」という物を、滋賀県の「信楽」という場所で買ってきました。しぼりだしの起源は急須より古く、中国の蓋碗から進化したらしいです 「お茶のエキスを最後まで絞り出せる」から「絞り出し」という名前がついたとの事。自分が買ってきたのはこの二つ その表面はツルツルした箇所とざらざらした箇所の二つに分かれていて、特にざらざらした部分は、フタの滑り止めの役割も果たしている。機能的! 信楽はたぬき人形でお馴染みの焼き物の街ですが、しぼりだしはこの街でも数が少ない茶器なので、何軒かお店を回って、やっと買えました! 伊澤龍一